北京五輪メダリスト朝原宣治氏、『夢に向かって』語る教育に携わる者としていちばん元気をいただいたのは、人間の可能性は無限であるということを語られたことです。朝原さんは始めからメダリストとなることを約束されていたわけではなく、そのときどきの出会いがあって、そこに到達したそうです。決して順風満帆のアスリート人生であったわけではなく、自らの意志で人生を切り拓いていかれたのです。さまざまなエピソードがあって、今の朝原さんがあるということがよく分かりました。 感銘を受けたことは多々ありました。第1に、自尊感情を育てることの大切さです。無償の愛情を土台として自分を信じてくれる人の存在により、すべての人間は潜在的にもつ可能性を発揮できるのです。そういう意味で、保護者や教師が背負う責任の重さを改めて感じました。第2に、多様性を尊重するということです。世界を舞台に活躍したトップアスリートは、自らの価値観が唯一絶対のものではなく、多様な価値観があることは当然で、どれが正しくどれが間違っているなんて言えないということを、世界に出て気付いたと言います。第3に、可能性を信じるということです。あきらめてしまうと絶対に未来は開けない。先に述べた価値観の多様性を尊重するということに通じるのですが、別の視点から見ることで、無理だと思っていたことも、実現の可能性がゼロではないと気付くことができます。考え方を変えることで、未来は開けるのです。そして、未来は開けると信じるからこそ、夢は実現するのです。また、そのようにして未来を切り拓いていった先人に対する憧れも、非常に大きな要素であると感じました。 21世紀を生き抜く子どもたちを育てるための示唆に富んだ研修会でした。 |