4月21日(火)校長室より2

公開日
2020/04/21
更新日
2020/04/21

お知らせ

 保護者の皆様、こんにちは。校長の銭本です。
昨日、「Qさま」というクイズ番組を見ていました。いきなり番組の中で、「これからの学習は『知識・技能』だけでなく『思考力・判断力・表現力』そして『学びに向かう力、人間性』が、大切だと言われています。(文部科学省というテロップも流れていました)それでは『思考力』を問う問題です。」と番組の進行がされていました。
 クイズ番組に学習指導要領の文言が語られるようになった。学習指導要領もメジャーデビューしたなと思いました。『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』『学びに向かう力、人間性』の3つは今年から完全実施される学習指導要領のキャッチフレーズです。本校のホームページの「休業中特設ページ」にある「新しい学習指導要領による学びhttp://swa.city-osaka.ed.jp/weblog/files/e561155/doc/144976/2910457.pdf 」に詳しい説明があります。お時間のある時にご覧ください。
『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』『学びに向かう力、人間性』の3つは「育成すべき資質・能力の3つの柱」と総称されるもので、私たち教職員が子どもたちに育てていきたいと願っている目標です。今回の学習指導要領からは「学力」という言葉はほとんど使われなくなり、かわりに「資質・能力」という言葉が多用されています。私の解釈ですが、「学校の世界だけで通用する力、つまり学力」から「社会で活躍するための資質・能力」がこれからは重要になるという文部科学省のメッセージだと考えています。
 ただ『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』『学びに向かう力、人間性』の3つには隠されている言葉があります。
 まず『知識・技能』。「●●●●く知識・技能」。黒丸にはどんな言葉が入るのか。正解は「生きて働く」です。単なる物知りではなく「生きて働く知識・技能」が1つ目の柱になります。
 さて、『思考力・判断力・表現力』。「●●●●●●●●●できる思考力・判断力・表現力」。今度はどんな言葉が入るのでしょう。正解は「未知の状況にも対応」です。「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力」が2つ目の柱になります。「未知の状況」まさに今がそうですね。新型コロナウィルス禍の今の状況に対応できる思考力・判断力・表現力。なかなか難しそうです。
 最後。「学びに向かう力、人間性」。「●●●●●●●●●●●●●とする学びに向かう力、人間性」。最後は13文字。何でしょう。「学びを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性」です。
 どれも非常に崇高な理念だと思いませんか。この理念に、保護者の皆様と私たち教職員は取り組もうとしています。

 ただ、理念だけを説明してもイメージがわかないので、具体的な学習で説明したいと思います。
1600年には天下分け目の関ヶ原の戦いがありました。混乱に乗じて天下を取ろうとした武将も天下取りをあきらめ、この戦いに勝利した徳川家康の世が始まるきっかけになった年です。次に1868年、つまり明治元年、明治新政府が樹立され明治維新が始まった年です。1945年、終戦の年です。
私が子どもの頃の学習は年号と事実を照合させるのが歴史の学習でした。でも、今は違います。少し大人向けの問題を探してみました。ハーバード大学の期末試験の問題です。

「日本の敵視の転換点である。1600年、1868年、1945年の中で、どの年がもっとも重要だと考えるか。日本の政治、社会、文化の変革に与えた影響という観点からその理由を述べよ。また、他の2つの年の重要性についても論述せよ。」

 いい問題ですね。それぞれの年についての『知識・技能』を生きて働かせないとこの問題は解けません。「どの年がもっとも重要だと考えるか。」考えてもみなかった問いです。「未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力」が試されています。「日本の政治、社会、文化の変革に与えた影響という観点からその理由を述べよ。」歴史の変革を深く考えることは「学んだことを人生や社会に生かす」ことにつながります。

 このように資質・能力の3つの柱はばらばらに育つのではなく、パフォーマンス課題を通して統合されて育ちます。つまり資質・能力はパフォーマンス課題によって育成されるといっても過言ではないと思います。
現在まで、私たち教職員はパフォーマンス課題の研究に取り組みました。教科書に載っている知識・技能をフル活用し、「思考・判断・表現」し、豊かな「学びに向かう」子どもを育てたいと考えたからです。

 保護者の皆様には、各ご家庭で、子どもたちの学習へのご指導をいただきありがとうございます。今後もホームページやメールで、各学年の学習について配信していきます。お忙しいとは思いますが、引き続き、ご指導をお願いいたします。