校長室より2 4月30日(木)
- 公開日
- 2020/04/30
- 更新日
- 2020/04/30
お知らせ
保護者の皆様。こんにちは。校長の銭本です。
日々、お子様に様々な働きかけをしていただき、教職員から発信されるメールやホームページに掲載される課題に取り組むことができるように、ご指導をしていただきありがとうございます。
世間一般に言われる「いい親」とはどのような親像かわかりませんが、中年になりかけている長男に「親父にしてもらったことで一番うれしかったことは、小学校の時、夜食にラーメンを作ってもらったことや。」と言われたことがあります。もっとコマシなことをしたと思うのですが・・・。私も何をしたかを覚えていないのでそういうことだろうと思います。
この夜食のラーメンには伏線があります。おそらく彼が4年生だったと思うのですが、何気なく手に取ったノートがえげつない状態でした。走り書きの文字と欄外には得体のしれないキャラクターがびっしりと書いてある。「これは授業に出席しても参加はしとらんな」と直感しました。そこで自分が教師であることを思い出し、指導を始めたわけです。予想された通り、全く授業内容が理解できていない。最初はやさしく説明していた声も、テンションが上がってくる。終盤には教授を超えて喧嘩。
「自分もそんなに賢くなかったけど、ここまであほやったかな」「お医者さんが自分の子どもは診察しないというのを聞いたことがあるけど、自分の子どもを教えるのは学校の授業をよりずっと手ごわい。」と感じながら、最後には「こいつは苦労するやろなあ」と憐れみを持ち、雰囲気の悪いまま寝かすのは良くないと思い、精いっぱいの努力をしたのがラーメン。あのラーメンが一番うれしいというのはどういう意味や。まあ、うれしいと言うてるんやったらええかと今では一応納得しています。
テンションの高い喧嘩腰の教授のあと、たまたま手に取った本に救われた言葉がありました。京都大学の誇る大数学者であり変人でもある森毅先生の言葉。(森毅先生の変人さは後日ホームページに記します。)
「親であれ教師であれ、『子育て』には根底的な逆説がある。自分の思惑通りの『子育て』というのは、根本で最大の失敗につながる。なぜなら、せっかく時代が流れているのに、自分のスタイルを再生産していては、時代に取り残されるのが当然であるし、なにより新しいスタイルが生みだされなくては発展のないことは、人間文化の歴史を眺めればすぐにわかる。」
なるほど森毅先生は偉大です。森先生は2010年に残念ながら亡くなりました。天国の森先生にきいてほしいことがあります。子育ての逆説。よくわかりました。その意味において私の子育ては成功しました。でも、その逆説の裏には、親の身勝手な悲しい感情もあることをわかってください。
「親の夢 木端微塵に 子は育つ。」