離職のご挨拶
- 公開日
- 2020/03/27
- 更新日
- 2020/03/27
お知らせ
花々が美しく万物が輝く季節となりました。
桜花のようにとは到底まいりませんが、私はこの3月31日をもちまして堀江小学校の校長を辞することにいたしました。教員生活の最後の5分の1弱、8年の長きに渡ってこの堀江小学校に在職できましたこと、子どもたちのエネルギー、保護者の皆様や地域の方々のご理解とご支援、教職員の頑張り、そして友人の支え・・・、私をとりまく周りの人々のお蔭と深く感謝しております。これまで賜りましたご厚情に衷心よりお礼申しあげます。
さて、この間、皆様もご存じの通り様々なことがありました。
その一つに児童数の急増と狭隘化の問題があります。着任した当初は730人ほどであった児童数が今や約1250人。この4月には1300人を超えることでしょう。児童が増えることはさまざまな個性が混じり合い活力の源となる利点はあるのですが、その一方でさまざまな弊害も生じました。いちばんの課題は、児童が学習する教室が足らないということでした。そのため、校舎建設が3度、この秋に建設中の校舎が完成すれば、もう校舎の建つ余地はありません。次は分校です。お蔭様で保護者、地域の皆様のご理解を得て、令和6年3月には西高校のテニスコート跡地に8階建ての西学舎が完成し、あみだ池筋で東西に分かれて児童が通うことまでの道筋が示されています。心残りなのは、堀江幼稚園が閉園に至ったことです。今も言葉が出ません。
また、新自由主義、競争原理を背景とした教育“改革”への対応も課題でした。利点も多くあるのですが、それがあまりにも急激に進められたために、校長として苦しい判断をせざるを得ませんでした。教育に携わる者の一人としてどの学校にも予算をと願うのですが、競争型資金のために自校のことを考えるとそう言ってもおれません。ICTやSPS、またブリックス(英語)など、手を挙げて認められて取り入れることができ、全国からも見に来ていただける成果があったことや教職員のネットワークが広がったことは確かです。しかし、数字だけが教育の成果として強調される風潮や現場の声や気持ちが届かないことも含め、今も心の隅に割り切れない思いと自身の非力さに慙愧の念を抱いています。
さらに、今も日常生活に大きな影響を及ぼしているコロナウィルスへの対応だけでなく、台風や地震といった自然災害への緊急対応や備えがあります。その都度、とった措置を反省し教訓化して皆様への情報提供も含めて迅速で的確な対応に心がけています。しかし、十分とは言えない現状があります。心苦しい次第です。
長々と駄文を弄しました。最後に、人は危機的状況に直面した時に心根や能力が分かるといわれます。今回の卒業式では、練習もほぼできなかったのに卒業生は立派にやり遂げました。さらに転任した教員が仕事帰りに運動場に絵を描きに来てくれたり、教職員からも卒業生からも互いを想うサプライズがあったりしました。講堂に掛けている「啐啄同機」が脳裏に浮かびました。誇りに思います。今後も、地域、保護者の皆様のお力を得て、このような姿を追求する学校であることを願ってやみません。
長い間、ありがとうございました。
令和2年3月31日
大阪市立堀江小学校 校長 中山 大嘉俊