卒業式 式辞
- 公開日
- 2025/03/24
- 更新日
- 2025/03/25
お知らせ
令和六年度 卒業式 式辞
いそじ小学校を旅立つ六年生の皆さん、
卒業おめでとうございます。
あんなに小さくて可愛らしかった1年生が、年ごとに成長して、こんなに大きくなりました。あの子、そしてあの子もどの子も、すべての六年生たちが、間もなく、桜の花が満開になる、来週、再来週にはもう中学生です。
君たちは、おぎゃーとこの世に生まれてから今まで、たくさんのものを譲り受けてきました。お腹がすいたといっては泣き、眠いといっては泣き、淋しいといっては泣き、何一つ自分ではできませんでした。ご家族の皆さんの愛情をたっぷりと受け、すくすく成長し、小学校生活六年間で、自分のことは自分でできるようになってきました。これからは、人のために何かできる、人の役に立てる人に、「してもらう人」から「してあげる人」になってほしいと願います。そして、いよいよ中学生。中学校で何をするのか、何のために中学校に行くのか、中学校生活最大のめあては「大人になる」ことです。三年後の姿を今から楽しみにしています。
人生何が起こるかわかりません。
元気ですか?がらがらボイスの時間です。
君たちとの出会いは、一方的な、YouTubeであり、テレビを通してでした。君たちとはじめて出会ったのは、2年生の5月13日、分散登校の日でした。それ以来、様々な制約のなかで、マスク越しにコロナの非日常を過ごしてきました。
3年生、4年生、5年生、6年生、いろいろなことがありました。それを君たちは、ゲルニカに表したのです。今一度、自分たちで描いたキッズゲルニカを見てみましょう。
例えば、いじめについて。一番、右側の子はいじめに気付いていません。気づこうともしていません。二番目の子は、気にはなっているけど、ただそれだけ。真ん中の子は、木の上からの高見の見物。傍観者です。四番目の子は、気づいてはいるけど、自分ではどうしていいかわからず戸惑っている、そこに留まっているだけ。最後の子は、自分で手を差し伸べて行動を起こしている。あなたは、今、どの子ですか。
君たちは、それを自らに問いかけ、自分たちの行動をふり返り、ピンチをチャンスに成長してきたのです。
そして何よりも、平和。80年前の3月13日、卒業式の前の夜に大阪大空襲。ここにあった音羽国民学校も磯路国民学校も焼けてなくなり、卒業式どころではなく、磯路の町が燃えてなくなりました。
ゲルニカの地面の下に描かれた大阪大空襲。焼野原の磯路の街、空襲に備えて殺された天王寺動物園の動物たち、防空頭巾をかぶって逃げ惑う親子、雨あられと落とされる焼夷弾。その歴史の上に立って生きていることを表現しました。
平和とは特別なこと。当たり前ではない、有り難いこと。それを伝えたい。その思いを迫真の演技で表現した学習発表会には心打たれ涙が止まりませんでした。その涙は、戦争に対する悲しみの涙ではなく、君たちの成長に対する感動の涙でした。心からありがとう。
さて、お隣に目を移すと。コロナ禍ではお見えいただけなかった地域ご来賓の皆さんが、こうやって当たり前に卒業生を見送りに来てくださるようになりました。有り難いことです。本日はご多用のなか、ご臨席賜りましてありがとうございます。高いところからではございますが、厚く御礼申しあげます。
君たちのふるさと、磯路の皆さんの思いを乗せて、平和への祈りをこめて、卒業生への餞にこの曲を贈ります。
「ふるさと」(ハーモニカ)
君たちの故郷には、うさぎもいません。青い山も清い川もありません。君たちの故郷は、海に近い港区。住宅に囲まれ、環状線と地下鉄の駅があり、三社神社と磯路中央公園のあるこの港区・磯路です。君たちはこの先ずっと、磯路小学校の卒業生です。これからは、君たちが青年となり、この故郷を支えていくのです。やがて故郷を離れる人もいるでしょう。ずっと故郷に根を下ろす人もいるでしょう。皆さん一人ひとりが磯路で過ごした思い出と、仲間との絆を、一生大切にしてほしいと願います。
そして、五年生の皆さん、この卒業式は皆さんが最高学年になる儀式でもあります。今日はよくがんばりました。明日からは最高学年。先輩たちからバトンを受け取り、君たちの時代が始まるのです。楽しみにしています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、心よりおめでとうございます。大きなランドセルを背負って、足をぶらぶらさせていた子どもたちが、あっという間に中学生です。もうランドセルを背負うことはありません。一歩ずつ大人への階段を登っていきます。これから先も、末永く、いつも、いつでも、いつまでも、この子たちの成長をともに見守っていきます。本日は、本当に、おめでとうございます。
最後の最後に。あなたがそこにただいるだけで、周りの人を幸せにしていることを思い知ってください。世のお母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんたちは、あなたがそこにただいるだけで幸せなのです。何よりも大切なことは、あなたが今、生きていることなのです。
人生まっすぐ、青春まっしぐら。とことんがんばれ。
それでも、ほんまにしんどい時は、帰っておいで。
いつも・そこが・じぶんの居場所・い・そ・じ。
ほな、ぼちぼちいこか。
卒業おめでとう!
令和7年3月18日
大阪市立磯路小学校長 糸 井 利 則