学校日記

☆児童朝会の様子です☆

公開日
2016/12/19
更新日
2016/12/19

校長室より「道徳心・社会性の育成」

12月19日(月)
 今日の児童朝会では次のような話をしました。 

 今日は「そうじ」に関わる話をしたいと思います。
 今から、2500年ほど前のお話です。インドという国にいたお釈迦様の弟子に「シュリハンドク」という名前のお坊さんがいました。このお坊さんは、物覚えが悪く、朝聞いたことでも夜になるともう忘れてしまうような人でした。自分の名前も覚えられなくて、背中に自分の名前を書いてもらい、人から名前を聞かれると背中を見せて教えていました。ですから、他の人からはバカにされていました。シュリハンドクはそういう自分が情けなくなって、ある時、お釈迦様のところに行って「私は、もう坊さんをやめたいです」と相談しました。すると、お釈迦様は「何も心配することはいらない。」と言って、彼に1本の竹箒を渡して、「これできれいにしましょう(塵を払い垢を除かん)」という言葉だけを教えたのです。
 シュリハンドクは、それから何年も、その言葉だけを心の中で繰り返しながらそうじをし続けました。ある日、いつものように庭そうじをしていると、お釈迦様が来て、「ずいぶんきれいになったね。だけど1ヶ所だけ汚い所があるよ。」と声をかけてこられたのです。そこで、シュリハンドクは不思議に思い、「お釈迦様、どこが汚いのでしょう?」と尋ねましたが、教えてくれませんでした。「はて、どこなんだろう?」と思いながら、それからもずーっと「これできれいにしましょう。」と繰り返しながらおそうじを続けたのです。
 さらに数年たったある日、シュリハンドクがきれいにしたところを数人の子どもたちが走り回って汚したのでつい、「こら、よごすな。」と大声をあげてしまいました。そのとき、はっとしました。「そうか、汚れていたのは、場所のことではなく『自分の心の汚れ』だったのか」と気がついたのです。
その時、お釈迦様はシュリハンドクの後ろに立っていて「これで全部きれいになりましたね。」と言ってくれたのです。
 お釈迦様の教えがわかったシュリハンドクは、ますますおそうじに精を出し、人々から逆に尊敬される立派なお坊さんになったのです。そして、やがて年をとり多くの人々から惜しまれながら亡くなりました。
 今日は、おそうじにちなんだシュリハンドクというお坊さんのお話をしました。おそうじを一生懸命に、しかも黙って行うことは、その場所をきれいにするとともに、実は「自分の心もきれいにする」ということなのです。
 今年も後13日間です。日本には昔から年末大掃除と言って身の回りをきれいにして新しい年を迎えるという習慣があります。
 皆さんも、今日からシュリハンドクのように「黙って一生懸命にそうじをする」と同時に「自分の心を磨く」そのようなおそうじをして新しい年を気持ちよく迎えるようにしましょう。
朝会が終わると子どもたちは並んで教室に向かいます。その様子を見守っていると、5年生の子どもが「話を聞きながら、あと1か所汚れているのは自分の心やと思ってた。」と私に伝えてくれました。考えながら話を聞いてくれているんだと感心しました。
 お家でも子どもたちが身の回りも心もきれいにし、新しい年を迎えられるよう、是非お声かけください。