今週の一冊 10 8/30
- 公開日
- 2015/08/30
- 更新日
- 2015/08/30
お知らせ
いよいよ8月も最終日曜日となりました。今週の一冊は消しゴムはんこ作りが得意な、美術科のS先生のお薦めの一冊です。
私がおすすめする1冊は、ガブリエル・バンサンというベルギー出身の女性作家による「アンジュール-ある犬の物語-」という絵本です。
1匹の犬が捨てられてしまうショッキングな冒頭から、路頭に迷い、やがて行き場をなくしたその犬が、出会ったのは…。
この作品との出会いは、美術の勉強をしていた大学生の時です。表紙に描かれた寂しげに佇む犬の姿に惹かれ、ページを開きました。この作品には文字がありません。たった1本の鉛筆で描かれているのです。セリフや説明がなくても、鮮やかな色彩がなくても、緻密な線や形がなくても、こんなに人を感動させる本があるのか!と、私はこの絵本に大きな衝撃を受けました。そしてそんな作品に強い憧れを抱くとともに、「基本ってやっぱり大切だな」と気付かされ、初心にかえってデッサンに打ち込むようになりました。
その他のガブリエル・バンサンの作品もおすすめです。一見サラッと描かれているように見えますが、その無駄のない高い描写力に驚かされずにはいられません。