学校日記

美術科授業  1年 シャガール鑑賞 その1

公開日
2015/05/25
更新日
2015/05/25

美術科

色の学習の次は「その日の空の色をポスターカラーで作って塗る。」外に飛びだし「自然の色をポスターカラーで作って塗る。」というカラーハンティングが終わると恒例、シャガール「旅する人々」の鑑賞授業に入ります。

1番バッターは1年1組Bです。このクラスはとても発言が活発で美術的感性もずば抜けています。

最初は作者名も言わず、何の前知識もありません。この絵がどの時代にどの国で描かれたかは全く生徒たちは知らないのです。

最初の質問「この絵の中に何が描かれていますか?」の質問にすでに鑑賞の言語活動は始まります。松田君がまず、「戦争を感じる。」「赤い鳥と青い魚が争っているみたい。」するどい意見が飛び交います。それに松本君や花山君が物語を膨らませます。「赤い鳥には暗い色が使われているから何だか悪者らしく感じる。」などと、絵の中にあらわれた色や形、表現方法を指摘して理由を述べるのが充実した鑑賞方法です。

生徒には根拠、理由を合わせてなぜそう感じたのかを言えるように指導しています。
当然、「絵をよく観る。」「自分の意見は人に聞こえるようにしっかり発言する。」「真面目に考える。ふざけない。」「友達の意見は静かに聞く。」ということは最低限のルールだということは押さえておきます。

竹村君は「バックの白いところは判定を下すところみたいだ。」と鋭い指摘をします。

1年1組の独自の物語が勝手に始まって完結します。1時限の最後にシャガールがこの絵で
みんなに伝えたかったことはという質問に「争いは醜いから戦争をしないように。」という意見まで飛び出します。

2限目、シャガールの人生をたどります。彼がロシアで生まれパリに渡り絵を学んだこと。ユダヤ人だったため第二次世界大戦でアメリカに渡ること。そこで最愛の奥さんをなくし、フランスの南部でいくつもの教会のステンドグラスを制作したこと。などをパワーポイントを使って映像とともに伝えます。

その中で、ナチスドイツによるユダヤ人虐殺などの事実も伝えておきます。
中澤さんは「涙が出た。」松田君は「「アンネの日記」は図書室にありますか?」と聞いていました。美術の授業の中で平和の大切さも折に触れて伝えていきます。
きっと1年生の純粋な心に平和の大切さは染み渡ったと思います。

侮れません、中学生の真実を見抜く直観。