校長室より 5月19日(火)

みなさん、おはようございます。校長の銭本です。みなさんの登校を楽しみにしています。
 昨日は、久しぶりにドイツの教育学者ザルツマンが書いた「カニの本」を読みました。1780年、日本が江戸時代だった頃に書かれた本です。教育とカニ、全く関係ないように思うでしょう。この本の見返しにはこんな物語が書かれています。
 
 カニのおかあさんがその子に
 「横に はうものではありませんよ。またわき腹をじめじめした岩にこすりつけてはいけませんよ。」
 といいました。子どもたちは
 「そう教えてくださるおかあさんが まっすぐに歩いてみせてください。わたしはそれを見て その 
 通りにします。」といいました。

 イソップ物語の「カニの親子」というお話です。本の見返しにこの物語が書かれていていることからだいたいこの本の内容が予想できますね。そうです。「子どもを悪くする手引書」です。つまり、こんな教育をしてはいけませんよという教育本です。
 子どもが親を信用しないようにする方法、子どもに軽蔑される方法、子どもに兄弟を憎ませ、嫉妬させる方法、子どもを残酷にさせる方法、勉強嫌いにさせる方法、子どもを怠け者にする方法など31の方法について物語が書かれています。

 すべてを紹介することはできないので、勉強嫌いにさせる方法の中から一つの物語を紹介します。

 ジョンは国語の本の題材を毎日暗唱するようにおとうさんに決められていました。そうして、もし、つかえたり、ちょっとも覚えていなかったりすると、それこそひどくぶたれるのでした。
 「あ、おひさまだ。おおきいおひさまだ。あかいあかいおひさまだ。」
 ジョンがこのかわいい一節を覚えなかったときに、父親は「ばかめ、これがわからないのか。」といってジョンの頭をぶちました。
 当然、ジョンは勉強が嫌いになりました。
 勉強のおかげでさんざんぶたれたのですから、むりもありません。今では、学校から帰るとすぐ、勉強道具を投げ出して外に飛び出し、なるたけ勉強しなくてすむように逃げまわっています。

 今から200年以上前にこのような手引書がかかれていることから、子どもが勉強にはげむことができるように教育する難しさは200年以上続いていることが分かります。

 みなさんは勉強ができないからといってぶたれることはないでしょうが、勉強が嫌いという気持ちが少しはあると思います。「勉強嫌い」の克服が人類の歴史的課題であることを心に留めて、挑戦してくれることを望みます。

 家で健康観察をして、元気に登校してください。待っています。

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