校長室より 5月27日(水)
みなさん、おはようございます。校長の銭本です。
6年生は本格的に授業がスタートしましたが、学習は軌道に乗っていますか。職員室で6年生の先生がこんな話をされているのを小耳にしました。 「今から、日本国憲法について学習するよ、と語りかけたけれど、子どもたちは無反応。リアクション欲しいなあ。」みなさん、先生たちは授業の下調べを入念にして授業を行っています。どうかリアクションをお願いします。 さて、今日は日本国憲法について話します。実態には課題はありますが、男女平等は今では当たり前のことです。この当たり前のことが憲法に明記されたのは1946年の日本国憲法が最初です。日本はもともと「アマテラス」という女神を崇拝したり、古代には女帝がいたり、紫式部や清少納言といった女流作家も活躍したりしていたのに、サムライの男たちが国を支配するようになると女性の立場はどんどん弱くなりました。西洋化を図った明治憲法でも女性の権利は改善されませんでした。選挙で投票することも国会議員になることもできませんでした。財産を相続することもできず、親の命令で顔も知らない男性と結婚させられることも当たり前のように行われていました。こんな状態は信じられないでしょう。このような理不尽な状態を改善するため、日本国憲法の草案会議(日本政府とアメリカのGHQがメンバーです)で活躍した女性がいます。ベアテ・シロタ・ゴードンというオーストリアの女性です。男尊女卑で女性が虐げられていた日本社会を、ひっくり返した女性です。日本語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語までできた彼女は草案会議で女性や子どもの権利を認めるよう日本政府とGHQに働きかけます。様々な反対に遭いますが「世界中の知恵を結集して、大好きな日本に最高の憲法をプレゼントするんだ」という強い信念と語学力を生かして、日本国憲法第24条の原案を創ります。 日本国憲法第24条 一 婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。 ニ 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。 男女平等の条項が1946年にできたのは画期的なことです。先進国ドイツでも3年後の1949年にやっと制定されたくらいです。驚くことにアメリカ合衆国憲法にはいまだに男女平等条項はありません。 ベアテ・シロタ・ゴードンが憲法の草案に関わったことはトップシークレットであったため、長い間口外されませんでしたが、日本とアメリカの両政府が公式にGHQ草案のいきさつを認めた1970年代になって初めてこの事実が明らかになりました。 男女平等条項のみならず、日本国憲法にはよりよい社会・世界を築くための英知が結集されています。先人がいかなる努力をして今の社会があるのかをしっかり学習してほしいと思います。
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