1年生 百人一首×球技大会2年生 なぎなた授業卒業式 その4
学校長による「式辞」の内容を全文掲載します。
卒業式当日、参列できなかった保護者の方々や地域の方々、また卒業生の皆さんにも再び読んでいただきたいので、掲載させていただきます。 かたく結ばれていた桜のつぼみもようやくふくらみ始めた早春のこのよき日に、本校を巣立つ第72期生のみなさん、卒業おめでとうございます。 新型コロナウイルスが投げかけた問題は、私たちの価値観や行動様式を一変させました。物理的空間から、パソコンやタブレットを用いたバーチャルな空間へ。人間同士の密な関係は一定以上の距離を保った疎な関係へ。みんなで1つのものや食べ物をシェアしてきた生活習慣は、「他人が触ったものは極力触らない」といった習慣へ。とそれぞれ変容しました。仮にコロナ危機が通り過ぎたとしても、一度変容した価値観や行動様式は簡単にもとには戻りません。 ダーウィンは進化論で「運」と「適応」の重要性を繰り返し述べています。「運」にはあらがうことはできません。中学3年生という時節にコロナ危機に直面したことはまさに「運」です。自分の力ではどうしようもありません。それに「適応」するとは変容した価値観や行動様式を柔軟に利用・編集してよりよい進化を遂げることです。 今回のコロナ禍では、もちろん大きな痛みを伴いながらではありますが、「電子決済の広がり」「衛生意識の高まり」「テレワークの増加やリモート授業の整備」などの進化がありました。 私たちは今、世界がこれまで当たり前とか常識と思っていたものが瓦解し、暮らしや働き方、社会のあり方そのものが劇的に変化する時代の入り口に立っています。これまでも日本は明治維新や戦後復興など、幾多の転換期を経験してきました。その度ごとに志ある若者が立ち上がり、海外に学び、日本の成長と発展に大きく貢献してきました。しかし今、明治期や戦後と圧倒的に違うことがあります。それは、当時は欧米社会など倣うべきモデルがありましたが、これからの未来にはモデルがないということです。未来は自分たちで創り出さなければなりません。そして、その創造の原動力となるのは、いつの時代も若者たち、つまり皆さんです。 また、モデルがないのは未来の社会だけではありません。生き方にもモデルがない時代です。今の大人たちの生き方や価値観が手本とならない時代がやってきます。つまり「自分はどう生きるべきか」という人間の根源的な問題に向き合わなければなりません。 正解はありませんが、自分なりの答えを出すときに持っておいてほしい1つの指標となる考え方についてお話をします。 強制収容所から奇跡的な生還を果たしたユダヤ人のヴィクトール・フランクルはその著書『夜と霧』の中で、「欲望」中心の生き方から「使命」中心の生き方へシフトすることを強く訴えています。つまり、自分はあれがしたい、こうなりたい、あれがほしい、という生き方ではなく、「使命」〜命を使うと書きます〜 社会やまわりの人のために、生かされていることの責任を果たすということです。 「幸せ」という言葉を使って説明します。3種類の幸せがあります。それは、「人からもらう幸せ」「自分でつかむ幸せ」そして「誰かに与える幸せ」です。フランクルは「誰かに与える幸せ」を最も大切にしなさい、と示唆しています。実際、彼は、死ぬ直前まで、まわりの家族を笑わせていました。 「先の読めない時代」は続きます。「一寸先は闇」です。しかし、予期していないことは確実に起こります。それは「運」です。そして「運」には「適応」していくしか進化の道はありません。「適応」するための指標として、「まわりの人を幸せにする」ことを常に意識しながら行動できる、そんな人になってください。 保護者の皆様、ご家族の皆様、お子様のご卒業おめでとうございます。これまで慈しみ、育ててこられたお子様の成長した姿をご覧になり、感慨もひとしおのこととお察しいたします。今日まで本校教育にお寄せいただきましたご理解・ご協力に心から感謝申しあげます。 終わりに、卒業生の皆さんの限りない発展・成長と幸多い人生であることを願って、式辞といたします。 令和3年3月12日 大阪市立蒲生中学校長 飯森 林 卒業式 その3卒業生の最後の歌う姿は、とても感動しました。 感動の涙あふれる式典となり、さらに、コロナ禍の対策で、保護者の方の参列が1名という心苦しい対応にもご協力いただき、卒業式を大成功で終えることができました。本当に、ありがとうございました。 72期生の卒業生の皆さん、卒業おめでとう! 卒業式 その2 |
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