校長室より 5月1日(金)
みなさん、おはようございます。校長の銭本です。
今朝は5時前からどんな鳥かはわかりませんが、けたたましい鳴き声で目が覚めました。朝から大声でさえずることができる鳥は元気でいいですが、少し、睡眠を妨げます。 昨日、マスクの買い占め防止の取り組みとしてこんな記事がありました。 マスク売り場の値札に「1点目まで298円、2点目以降は9999円になります」と書かれている。 マスクの買い占めがニュースになっていますね。この発想、いいでしょ。さすがに2点目のマスクを買う人はいないでしょう。こういう「人々が強制によってではなく自発的に望ましい行動を選択するように促す仕掛けや手法」をナッジと言います。行動経済学の手法です。専門家でない私がコメントをするのもおこがましいですが、行動経済学はとても面白い学問だと思います。 大竹文雄教授著「行動経済学の使い方」のなかにある問題で、ちょっとゲームをしてみましょう。 みなさんはどちらを選びますか。 第1問 A 確率80%で4万円が得られる。 B 100%確実に3万円が得られる。 さあ、どっちかな。ちょっとしたゲームなので気楽に選んでください。たくさん実験した結果は、Bの「100%確実に3万円が得られる。」を選ぶ人が多かったようです。 第2問 C 確率20%で4万円が得られる。 D 確率25%で3万円が得られる。 さあ、どっち。この2つであればCの「確率20%で4万円が得られる。」を選ぶ人が多かったようです。 今までの経済学であれば、「人間はよく考えて、得する方を選ぶ。だから、より確率の高いBとDを選ぶ。」ハズなのになぜ、確率の低いCを選ぶのか。不思議ですよね。 第3問 A コインを投げて表が出たら2万円をもらい、裏が出たら何ももらわない。 B 確実に1万円もらう。 第4問 C コインを投げて表が出たら2万円支払い、裏が出たら何も支払わない。 D 確実に1万円支払う。 第3問ではBを 第4問ではCを選ぶ人が多いそうです。得をする場合には1万円を選ぶのに、損をする場合は、50%の確立で2万円も支払わなければいけないのに、Cを選ぶ。「そりゃあ、確実に1万円もらえる場合はそっちを選ぶけど、支払うとなったら1万円損をするのは嫌だから、ギャンブルだけどCを選ぶかな。」という意見が聞こえてきそうです。 では次の場合はどうかな。 第5問 あなたの給料は月30万円です。 E コインを投げて表が出たら今月の給料は28万円、裏が出たら30万円のまま。 F 今月の給料は確実に29万円。 さあ、どっちを選びますか。1万円を損するのが嫌だからEを選んで勝負に出ますか。実験の結果は、圧倒的にFの「今月の給料は確実に29万円」を選ぶ人が多いそうです。 コインの表が出るか裏が出るかというような不確実な場面で、人々はどんな考え方で意思決定をするのか。 カーネマン博士とトベルスキー博士はプロスペクト理論と呼ばれる考え方で意思決定するという研究論文を出しました。その研究論文や行動ファイナンス理論などの論文が認められ、カーネマン博士は2002年にノーベル経済学賞を受賞しました。共同研究者のトベルスキー博士は残念ながら受賞はできませんでした。なぜなら1996年に亡くなったからです。トベルスキー博士が存命であればカーネマン博士と同時受賞になってたたはずです。 明日から連休ですね。ただ今年の連休は「人との接触を8割減らす、10のポイント」を守って過ごしてください。この10のポイントの言葉。実は行動経済学の理論を用いて作られています。どこに工夫があるかよく見てください。「人との接触を8割減らす、10のポイント」で検索できます。 最後にクイズ。「人との接触を8割減らす、10のポイント」と「人との接触を2割にする、10のポイント」。言っていることは同じですけど、どちらのメッセージの方がやさしいと思いますか。 校長室より3 4月30日(木) |
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