文化祭展示4文化祭展示3文化祭展示2文化祭展示1図書室より学校司書の門野です。 アンデルセン童話の「白鳥の王子」という話を知っていますか? ある国のお姫様とその兄である11人の王子たちの物語です。兄たちは呪いで白鳥にされてしまいます。その呪いを説くためにお姫様は棘のあるイラクサで11枚の上着を編まなくてはなりません。しかもその上着を編む間は決して喋ってはいけないのです。 私は子供の頃この物語を何回も読みました。指を血だらけにしながら編むとか、11枚も編まなくちゃいけないとか、牢屋に入れられるとか、申し開きもできないとかジリジリする場面がずっと続く物語なのに繰り返し読んでしまうのです。 何回も読んでいるから、ギリギリのところで上着が編み上がるし王子たちもお姫様も助かると知っているのにああ今度は間に合わないかもしれないとドキドキしながら読んでいました。 今日紹介する本は、フランシス・ハーディング著『呪いを解く者』(東京創元社)です。 これを読んだときに「白鳥の王子」を思い出しました。 それは、まさに呪いがものがたりの中心にあるからだし、主人公のひとりである少女ネトルは呪いで兄弟と一緒に鳥にされていたことがあるからです。その呪いを解いたのがもうひとりの主人公の少年ケレンです。ケレンは呪いを解きほぐす能力を持っているのです。2人は協力していろいろな呪いを解いていきます。 ケレンが、美しい妖女に沼に引きずり込まれそうになる場面があるのですがきっと助かると思っているのにその絶体絶命の場面にドキドキしてしまうのです。そんな感じのドキドキ場面が次から次へと展開していきます。もう、話が進むうちに誰が敵で誰が味方なのか、正義って何なのか、そもそも呪とはなんなのかと思いながら怖い話なのに読み続けてしまいます。私は怖い話が苦手なのに読み続けられたのは、怖さと平行してユーモアがうまい具合に混ぜ合わされていて、時々ホッとしてくすっとできるからだと思います。 そして、私が「白鳥の王子」として知っていた物語は、図書館にある『アンデルセン童話2』(岩波書店)に「野の白鳥」という題名で載っていました。覚えていた物語とだいぶ違っていてびっくりしました。お姫様は思っていたよりもっと困難にあっていました。アンデルセン童話は怖い場面満載です。覚え間違いもあったのでしょうが、私はたぶん子供向けのソフトな物語を読んでいたのだと思います。 |