R7視聴覚部

【部長挨拶】
 本年度、視聴覚部長を拝命いたしました、内代小学校長の原田 哲次と申します。本研究会では、視聴覚教育・放送教育の推進のため、ICT機器を効果的に活用した研究活動に取り組んでいます。どうぞよろしくお願いいたします。

 生成AIの急速な普及は、学校教育における「個別最適な学び」や「教職員の業務軽減」、「AIとの対話を通した新しい学びのスタイル」など、教育を変革する大きな可能性を秘めた動きであると思われます。しかし、専門家からは「不正利用・認知依存の懸念」や「情報リテラシー教育の課題」、「デジタル格差」など山積する課題に十分な備えができないまま、学校教育は時代の流れに押し流されるのではないかと、危惧する声も聞かれます。
 また、次期学習指導要領に対し、文部科学省は中教審教育課程企画特別部会の中で、「総合的な学習の時間」に「情報の領域」を付加する方針を提案しました。今後、中教審の審議の中で議論されていきますが、おそらく小学校段階において「情報活用能力」の育成を目的とした総合学習が行われるようになると予想されます。また、「学習の基盤となる資質・能力」の一つである「情報活用能力」は、「情報技術を適切に活用する能力」とし、「言語能力」との重複を避ける方向が示されました。これらの背景にあるのが生成AIによる技術革新であり、世界の学力調査がペーパーテストからCBTに全面移行していることに象徴されます。つまり、「情報活用能力」なくして、学習を進めていくことが困難な状況に直面しており、是が非でも能力向上をめざさなければならないというのが日本の教育の現状ではないでしょうか。

 本研究会では、このような状況を踏まえ、果たすべき役割を強く認識しながら、子どもたちの「情報活用能力」の向上をめざして、以下の研究主題を設定しました。また、これまでの研究実績の積み重ねを大切にしながら、個別最適な学びと協働的な学びの機会を踏まえ、主体的に情報を収集し、活用する児童の育成に邁進してまいります。
 今後とも本研究会の研究活動について、ご支援とご協力賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

令和7年吉日
大阪市小学校教育研究会 視聴覚部長
大阪市立内代小学校長 原田 哲次

研究主題

探究的な学びを追究する児童の育成
〜情報活用能力を活かした問題解決を通して〜

主題設定の理由

「令和6年度 大阪市学力経年調査」の質問紙調査の結果より、75%前後の児童が主体的に課題解決に取り組もうとしていることが明らかになった。しかしながら、児童が主体となる学びの基盤となる情報活用能力については、肯定的な回答が少ない項目や学年も見られる。教員への質問紙調査の結果からも、児童が主体的に課題解決に取り組むことや、情報活用能力育成に向けた実践を行うことに課題があることが確認できた。
 また令和6年12月25日中央教育審議会諮問「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」によると、「習得した知識を現実の事象と関連付けて理解すること、概念としての知識の習得や深い意味理解をすること、自分の考えを持ち、根拠を持って明確に説明すること、自律的に学ぶ自信がある生徒が少ないこと」に課題があるとしており、さらに「デジタル学習基盤の活用を前提とした、資質・能力をよりよく育成するための各教科等の示し方」や「情報活用能力の抜本的向上を図る方策」「質の高い探究的な学びの在り方。その際の情報活用能力の育成との一体的な充実や教科横断的な学びの充実」が求められている。
 そこで、情報活用能力の育成及び活用のための探求的な学びにより児童の主体的に学ぶ意識が向上することを以下の視点により研究する。
1,探求的な学びを支える情報活用能力の育成とその指導についての研究
2.各教科等の見方や考え方を働かせ、児童が深く学ぶためのカリキュラムの研究
3.児童が興味・関心や能力・特性に応じて学びを自己調整し、身につけた情報活用能力を活かして教材や方法を選択する授業の構築
 また、ICT機器の活用に苦手意識があるが、授業で活用したいとの意欲のある教員が少なからずおり、それに対する支援を積極的に行う。まず、授業での活用方法をより汎用性の高い提案に限定し、指導者による差が生じないよう研修内容を事後アンケートの結果等を活かしながら吟味する。また、研修後の追跡調査を参加者に呼びかけ、実際に取り組んだ際の障壁となった事案の提供を求める。公開授業においては、討議の視点を本授業だけでなく単元を通して議論することとし、研修会においては、研修後の追跡調査を実施し、汎用性に効果が見られたのかを検証する。

研究の概要


1.部会の構成とねらい
学習者用端末を活用した教科横断的に取り組む授業実践と教員の情報活用能力における資質向上を2つの柱として研究を進める。
そのために、「授業実践部会」と「研修部会」との2つの部会編成とした。

2.研究の視点
(1)教科横断的に情報活用能力を育成するための授業を構築する。
(2)情報活用のスキルを習得・活用、探究する場面を設定し、効果的に課題解決することができた実践を発信する。
(3)学習者用端末の活用推進に向けて、研修を企画し、全市展開で実施する。

主な活動


・公開授業の実施
・総合研究発表会における実践発表・講演会の実施
・近畿ICT教育研究会への参加
・大阪府放送視聴覚教育研究会・近畿放送・視聴覚教育研究協議会への参加

表示項目はありません。

資料

配布文書はありません。