学校日記

1回目の高倉タイムをやってみました

公開日
2026/06/18
更新日
2026/06/18

お知らせ

近年、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化しています。ゲームや動画など「遊びのデジタル化」が進み、習い事などで忙しい子どもたちが増えました。便利で効率的な世の中になった一方で、子どもたちが「友だちとリアルにぶつかりあって、折り合いをつける経験」や「デジタル端末も何もない中で、自分で考えて工夫して遊ぶ経験」はどうしても減ってしまっています。その結果、最近の教育関係者の会議などでは次のような子どもたちの姿が報告されるようになってきました。

●ちょっとしたことで感情をコントロールできずに、キレたり投げ出したりしてしまう。

●失敗を極端に恐れ、「間違えるくらいなら最初からやらない」とあきらめてしまう。

●自分の気持ちをうまく言葉にできず、友だちにきつい言葉をぶつけてしまう。

●常に大人に「次は何をすればいい?」と正解を求めてしまい、自分のやりたいことがわからない。

高倉小学校の子たちも例外ではないと思います。しかし、決して子どもたちが悪いわけではありません。コロナ禍や社会の変化によって、子どもたちが自然に「心の力(非認知力)」を育む時間と空間が奪われてしまっています。だから、時間割の中に意図的に「心の力(非認知力)」を育てる時間を設けることにしました。それが「高倉タイム」です。

高倉タイムは、異なる学年の児童(年長・年中・年少)がひとつのグループを作る「異学年集団」で行います。具体的には、キッズファミリー班のメンバーの1~3年をジュニア班、4~6年をシニア班としてグループにしました。そしてなかよし学級の子たちも全員が参加する「フルインクルーシブ教育」の場です。

高倉タイムでは、大人(教員)は指示を出す役割ではなく、子どもたちの育ちを支える伴走者に徹し、大人の介入を最小限にして見守り、先回りして「これはだめ」「こうしなさい」と言いすぎないようにします。例えば、ルールが守れずトラブルが起きるのも大切な学びです。「次はどうすればいいと思う?」と子どもたちに問いかけ、自分たちで問題を解決する力や、失敗から立ち直る力を養います。

6月10日(水)に初めての活動をしましたが、活動は、「サークル対話」と「遊び」です。まず、サークル対話をしました。6月のお題は、「好きな〇〇をw伝え合おう」です。どの教室でも、「好きなスポーツは、サッカーです。」「おれも!」「週に何回練習してますか?」など自分の好きなことを伝え合いながら、班のメンバーでなかよくなっていきました。その話題が終わったら、「もし魔法が使えたらどうする?」「いごこちのいい学校にするにはどうしたらいい?」といった好きな話題で15分間対話を続けます。

教職員の予想では、「ジュニア班は3年生がファシリテートするので、対話が成立しないのでは?」 という不安がありましたが、やってみると3年生のどの子もいっしょうけんめい、1年生や2年生に語りかけて、リーダーシップを発揮していました。「何を言っても否定されない」という安心感の中で、自分の考えを言葉にする力や、相手の意見を聴く姿勢を育てていきたいと思います。

約15分のサークル対話が終わると、次は班ごとに何の遊びをするかを相談して遊びます。「はんかち落とし」「フルーツバスケット」「リーダーはだれだ」などいろんな遊びをみんなでしました。条件は「班の全員が楽しめるようにすること」だけです。教員はそれを見守ります。何の遊びをするかで話し合うとき、時間がかかった班もありましたがどの班でも自分たちで決めたルールでみんな楽しめたようです。

異学年で活動するメリットについても説明します。

学校は同じ年齢の子を集めて35人を基準にクラスを作って、ほとんどの教育活動を「同じ年齢の子のグループ」で行います。学習の理解度、発達段階がだいたい揃うので、一斉に効率よく知識を伝達することができます。また、「言わなくても分かる」という高い共感(いわゆる阿吽の呼吸)が得られるため、心理的な安全性が高く、リラックスして話せます。お互いの価値観や前提条件を共有できているので、グループでの話し合いもスムーズに結論にたどり着くことができます。多くの国の学校で、同学年集団でクラス編成されているのはこのためです。

異学年集団だと、年齢も考え方も違う多様な子といっしょに活動するため、つまづきやトラブルが起こりやすくなります。しかし、私たちはそのトラブルやつまづきこそが「協調性」を育てる最高のチャンスだと考えています。もし話し合いが長引いて、その日のゲームが予定通りにできなくても構いません。「どうすればみんなが納得できるか」を話し合ったことに値打ちがあるからです。年上の子は年下の子を思いやり、年下の子は年上の姿を見て憧れを抱く。この集団の中でのいろんな活動、そして経験が、将来、社会に出たときの「幸福度」や「たくましさ」に強くつながっていくことが、近年の研究でも明らかになっています。事実、世界中どんな職場でも「異年齢集団」で仕事をしていて、我々大人たちは自分とは違う多様な年齢の方といっしょに協力しながら仕事をしたり、家庭を築いたりしています。

本校が掲げる学校目標は「共に幸せに生きる力を育てる」ですが、高倉タイムは、この目標をただの言葉で終わらせず、日々の学校生活の中で子どもたちに実感してもらうための挑戦だと思っています。子どもたちが、失敗してもやりなおせば大丈夫、違う考えの人ともルールを工夫することでいっしょに活動できる、などの経験を積み、違いを認め合える子どもを育てていきたいと考えています。