みんなの笑顔・安心ルール(3年目)スタートです
- 公開日
- 2020/07/27
- 更新日
- 2020/07/27
お知らせ
7月16日(木)から、今年度の「市岡小学校 みんなの笑顔・安心ルール」の取組が始まりました。
大阪市教育委員会が、安心ルール(スタンダード版)を示しています。
そこには児童・生徒がしてはいけないことを明示し、それをしてしまったときは、どのような指導や対応、場合によっては警察やこども相談センターなどへの連絡について記載されています。
一方、本校が取り組んでいる市岡小学校 みんなの笑顔・安心ルール」は、
PBIS(ポジティブ行動支援)の考え方に依拠しています。
このPBIS(Positive Behavioral Interventions and Supports:ポジティブな行動介入と支援)というのは、子どもの適切な行動の増加、さらにはQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を目的とし、応用行動分析学を実践上の主な基盤として行う取り組みで、学校内の児童・生徒の問題行動の防止を目的としています。
PBISのポイントは、
肯定的で適切な行動は、おとなから教わらなくてはいけないものであり、
教えることが可能であるということです。
1年間のスタートにあたり、
この安心ルールの取組の主旨をみなさんにお示しします。
1.このルールはPBIS(ポジティブ行動支援)の考え方に依拠しています。
PBISは、ただ単に「ほめる」だけの教育ではありません。
あらかじめ望ましい行動を示し、その達成に向けた努力を、
先生と子どもと保護者、先生同士で共有し、認め合い、賞賛しあって
徐々に子ども一人一人の自己肯定感を高めていくものです。
以前、教員内にも、PBISは「叱ったらだめ」という誤解がありました。
しかし、よくないことをしたときは、もちろん叱ります。
特に、命にかかわること、安全にかかわること、
「いじめ」を現認したときなどは、
感情的に(厳しく)叱るよう教員には伝えています。
ただし、最後には、子ども自身に「これから○○するようにします」
「みんなに○○していきます」「(具体的に)○○をがんばります」
といった決意を述べさせ、教員は期待をかけるように言っています。
これがないと、ただ「怒った」だけになります。
また、決して「もう今度から××しないようにします」という
消極的な約束をさせて(先生から一方的に言って)終わるのでもありません。
2.どんなルールを重点ルールに選ぶかは、とても大切です。
この安心ルールは、「子ども」と「先生」とが
共有できていなければなりません。
ですからルールを決める時に、先生が一方的に決めてもだめですし、
子どもに選ばすだけでもだめなのです。
まず、先生と子どもたちとで、学級の課題を共有します。と言っても、
子どもたちには子どもたちの経験と習慣と、価値観しかないので、
何が大切なことなのかは、先生が子どもたちの思いや考えを受け止めながら
示していくことになります。
この作業がうまくいけば、まずは、第1段階を終えたことになります。
3.ルールを守らせる(目標達成)には、仕掛けが必要です。
決まったルールを教室に掲示したからといって、
すぐに達成できるわけではありません。
逆説的に言うと、示しただけでみんなが達成できるようなものは、
そもそも、みんなの常識的行動として無意識にできているものなので、
この「安心ルール」にはそぐわないのです。
程度の差はあれ、努力して達成するものを、「安心ルール」に設定します。
そして、それを達成するための仕掛を準備します。
では、どんな仕掛けがあるかというと…
○ ルールを教室に掲示する。
… 基本中の基本の基本 これさえもできないなら、
達成なんてとんでもないこと、夢のまた夢です。
○ ルールが守れる環境をつくる。
… ルールを守るのは子ども達ですが、環境整備を何もせず、
「守れ」「守れ」と押し付けるのは、子どもにとって
難行苦行に他なりません。
守るには、そのルールが守りやすい環境を教師が整える
必要があります。
例えば「チャイムが鳴ったら席に着こう」というルールの場合
教師がすべき環境整備は → 子どもたちが、手洗いをし「水分」を
とる時間を確保する。
それが終わればすぐに授業を始める。
休み時間をきちんと確保してあげる。
座席に着いたら、どのような行動を
するのかを具体的に示しておく
条件をクリアした子どもたちを
積極的にほめる
などが考えられます。
○ ルールの指標を設定する。
… 安心ルールは、具体的なものもありますが、わりと抽象的、
言い換えるとアバウトなものもあります。どちらかと言えば
子どもも教員もそちらの方を選びがちです。
なぜなら、行動とその評価に幅ができるからです。
でもそれだと、子どもたちの行動は、ポジティブなものに
なかなか向いていきませんし、意識化もされません。
(例えばどんな指標が必要か)
「あったか言葉」:どんな言葉が「あったか」なの?
その中でも特に、
学級内で大切にする言葉をみんなで考えます。
「相手の意見を尊重して」:どんな態度や行為が尊重になるの?
このようなことを、あらかじめ
明らかにしておく必要があります。
そのことで、子どもたちの行動面・
情緒面の成長が促されます。
○ 子どもたちが意識化できるまで、繰り返し先生が声をかける。
… とても大切です。ただし、陥りやすい失敗として、
「○○さん、何度言ったらできるんですか?ちゃんとしなさい」
とできない子を叱責しすぎてしまうと、周囲の子が
「○○は、できない子」「○○は、先生の代わりに注意しても
いいんだ」と思い込み、
正当な注意の名のもとに「いじめ」行為を行います。
では、どうすればよいのでしょう。以下に続きます。
○ できた子をタイムリーにほめる。
… 褒めるというのは、言葉だけではありません。
「いいね」のサインでも、笑顔でもかまいません。
やってできたことに対して、教員が「できて当たり前や」
という態度を見せるのではなく、
その場で評価してあげる必要があるのです。
この評価は、個別にほめるだけではなく、
集団を相手に実施することもできます。
「今日は、みんなができるまで何秒でしたね」
「何も言わなくても何人の人ができていましたね」
「今日、こんなすてきな場面を見ました」
など、徐々に子どもに意識づけていくようにします。
○ がんばることを、イベント化する。
… 例えば、こんなこともできるでしょう。
学級のルールを学級で記録カードにして全員に持たせ、
毎日できたらシールをはったり、色を塗ったりします。
週に一度は、ラッキーデイとかスペシャルデイとかにして
シールがより多くもらえる、色を塗る場所を増やすなど、
教員がイベント化することで、子どもたちの動機付けを行います。
決して、物で釣っているわけではありません。
努力したことの評価を、「見える化」していこうということです。
○ 他の先生からほめてもらう
… 隣接学級、他の学年、保健室の養護教諭、
なかよしや担任外の教員、職員室の教員、学校職員など、
より多くの人に褒めてもらえるようにします。そうすれば、
子どもたちには自分たちのしていることは、すばらしいことなんだ、
自分たちは素晴らしいことに取り組んでいる子どもなんだと、
再度、意識していきます。
○ 保護者の方にお願いして褒めてもらう
… 最後に、保護者のみなさんへのお願いです。
保護者の方は、学校からの電話はあまり良い印象をお持ちでないのでは
ありませんか。なぜならば、学校からの電話のほとんどが、ケガ、発熱、
校内外でのトラブル(やった、やられた)、校内外の危険な行為という、
いわゆる好ましくない内容が多いからです。
でも、「今日、こんなことでがんばったんですよ」
「こんなすばらしい行動をしましたよ」という連絡ならいかがですか。
しかも、何か「よくないこと」の連絡の後に
「こんなことがんばってるんですよ」っていう付け足しではなく、
純粋に、「頑張ったこと」「できたこと」
「担任としてうれしかったこと」を伝える電話ならどうでしょうか。
こんなつながりを教員にはしていってほしいと思っています。
だから、保護者の方も家の中だけでなく、
外で(社会で)頑張っている子どものよさをしっかりと
認めて褒めてあげてください。
4.各学級のみんなのがんばりを認め合う場として玄関に掲示しています。
玄関には、すべての学級のがんばりを掲示します。
昨年度までは、毎回のがんばりを得点化してめざせ100ポイント
(全員達成)にしていましたが、
今年度は、ポイントを積み上げて、累積500ポイントごとに
その学級を児童朝会で表彰しようと考えています。
ゆっくりでもいいので、着実にポイントを積み上げて
子どもたちの自己肯定感を高めていきたいと思います。
現在の各学級の重点ルールを示しました。ご覧ください。
初回の評価は、後程、お知らせします。