今日の一言 2月10日 子どもの発達的な特質
- 公開日
- 2015/02/10
- 更新日
- 2015/02/10
校長雑感 一隅を照らす
学習指導要領「特別活動編」(写真)
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特別活動の目標は、児童の望ましい集団活動を通して人間形成を図ろうとする教育活動である、としています。(P.15より抜粋)
そして
人がよりよく発達をを遂げるためには、人間としてそれぞれの発達時期に達しておくべき課題がある(P.16)・・・・と続き、
次にとても興味深い記述があります。
学校生活における集団活動の発達的な特質を踏まえた指導
( P.16〜P.20)
という項目です。
そこには小学校の6年間の子どもの集団における行動パターンや心の発達段階がとても分かりやすく記述されています。
学習指導要領では、先生方に対して、
学校生活における集団活動の発達的な特質を踏まえた指導・・・
をするように呼びかけています。
とても長い引用になりますが、日々私たちが子どもと接するときに、とても参考になると思いますので、お時間の許す限り、ご覧ください。
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ア低学年
児童は,まず学級生活を中心に新しい生活を始める。小学校への入学当初においては,幼児期の自己中心性がかなり残っており,学校の中の児童相互の関係は,個々の児童の単なる集合の段階にある。また,教師と児童との関係が中心で,児童相互の人間関係は少ない。さらには,行ってよいことと悪いことについての理解はできるようになるが,感情的,衝動的な言動が多く,入学期に小学校生活や集団生活にうまく適応できなかったり,このことによって授業が成立しにくい状況が生まれたりするなどのいわゆる小1プロブレムの問題も生じてくる。
第1学年後半になると,教師を中心とする学級集団への所属感や一体感が現れ始める。また,2,3人の小グループにおいて仲よく活動することはできるようになる。しかし,友人関係は全体として流動的で結び付きも弱く,学級全体としての集団のまとまりは欠けている。
第2学年になると,活動の中心となる児童が目立ち始め,他人の立場を認めたり,理解したりしようとする態度や,よりよい学級生活を築こうとする自主性なども次第に高まってくる。学級の中のそれぞれの集団は,仲間としての結び付きもその期間も次第に長くなり,その成員数も増え,小集団での協同的な活動ができるようになってくる。また,学級全体に目を向けたり,学校に対する所属感を少しずつ深めていくようになる。さらには,役割を分担して活動したり,きまりの大切さを認識して生活したり遊んだりすることができるようになる。そこで,教師は,このような低学年の学校生活における集団活動の発達的な特質を踏まえ,いわゆる小1プロブレムにかかわる課題に配慮し,就学前教育との関連を図りながら,例えば,幼稚園教育要領の「人間関係」の領域などの教育や社会性をはぐくむ幼児期の教育との接続を図って,小学校における集団生活に適応できるようにすることが大切である。そのためには,入学当初から徐々に大きな集団における幅広い人間関係の中で活動できるようにし,集団で活動する楽しさを味わわせたり,上学年の児童が温かく見守るようにしたりするなどして,安心して学校に通えるようにすることが大切である。また,集団活動を通して,約束やきまりなどを守らなければならないことを理解させたり,みんなと一緒に活動できるようにしたりする必要がある。さらには,学習や給食,清掃など学校における基本的な生活の仕方を身に付けるとともに,集団活動を通して友達に対してしてよいことや悪いことをしっかりと自覚できるようにすることが大切である。その他にも,友達の大切さを実感させたり,徐々に児童が学校での生活に慣れるようにしたりして,学校生活を楽しく送ることができるように計画的に指導することが重要である。この時期の特別活動では,特に学級や学校における集会活動や係活動などを通してみんなと一緒に活動する楽しさを体感させたり,学級会において友達の意見をしっかり聞くことの大切さを理解して話合いができるようにしたり,異年齢集団や学級内のグループでの活動を協力して行うことを通して個々の児童が望ましい人間関係を築く態度の基礎を身に付けることができるようにすることが大切である。
低学年においては,これらのことに配慮し,望ましい集団活動や体験的な活動を通して,児童が仲よく助け合い学級生活を楽しくすることができるようにするとともに,進んで日常の生活や学習に取り組むことができるようにすることが大切である。
イ中学年
第3学年になると,集団の中の仲間としての結び付きや集団としての閉鎖性が次第に増大し,協力して楽しい学級生活をつくろうとする小集団による活動が盛んになる。また,この時期は,集団感情や集団意識が強く育ってきて,いわゆる「われわれ意識」などの仲間意識が高まってくる。しかし,指図する者とされる者が次第にはっきりしてきて,それぞれの仲間集団としての小集団が分立し,集団同士の対立や集団への付和雷同的な行動も見られるようになってくるなど,学級全体としてのまとまりが育ちにくい時期でもある。集団活動を行うにしても,それぞれの集団での活動目標について,ある程度共通に理解して持続して活動することができるが,まだ,個人的な興味・関心や要求に動かされることが多く,その集団に所属する成員の間にはっきりとした相互依存の関係は見られない。
第4学年になると,集団目標の達成に主体的にかかわったり,協同の活動に取り組んだりして,リーダー的な児童を中心に教師の力を借りなくてもある程度の計画的な活動ができるようになり,自分たちできまりをつくって守ろうとするなどの自主性も増してくる。また,クラブ活動に参加するなど,学級生活のみでなく学校生活全般に興味・関心を広げ,自発的に活動しようとする意欲が強くなる。また,男女の活動の違いも見られるようになり,男女別の小集団もつくられるようになる。そこで,教師は,このような中学年の学校生活における集団活動の発達的な特質を踏まえ,低学年の経験を生かしつつ,例えば,児童の集団活動に対する強い興味・関心の出現,自発的な活動への要求の高まりなどを積極的に生かし,自分の行動や集団としての活動の成果や反省を踏まえて,特に楽しい学級生活づくりのための係活動などの協同の活動の充実を図ったり,多様な集団に所属して望ましい人間関係を築く態度を形成するための活動を充実させたりする必要がある。また,生活や遊びのきまりをつくって守る活動やよりよい生活を築くために集団としての意見をまとめるための方法などを理解して話合い活動ができるようにしたり,集団の秩序や規範,集団活動の方法などを自分たちでつくり上げたり,そのための方法を身に付けたりすることができるように指導することも大切である。さらには,高学年に向けて学年の集団など他の学級と一緒に活動に取り組む機会を適切に設けるなどして,より大きな集団においても個人と集団が調和的に発達できるようにすることが大切である。
中学年においては,これらのことに配慮し,望ましい集団活動や体験的な活動を通して,児童が協力し合って楽しい学級生活がつくれるようにするとともに,日常の生活や学習に意欲的に取り組めるように指導することも大切である。
ウ高学年
第5学年になると,中学年までの経験を生かして,自分たちで決めた集団の活動目標をできるだけ大切にし,常に実践活動を振り返り,改善しながらこれを達成しようとする感情や意識が強くなる。学級全体としてまとまった活動ができるようになり,友達の長所や短所なども客観的にとらえられるようになるとともに,目標を実現するために,互いに信頼し支え合って活動することを強く求めるようになる。また,集団としての実践や自分の言動について振り返り,改善するなどしてよりよい生活を築こうとする意欲が高まってくる。さらには,児童会活動やクラブ活動の運営に参加するなど,学校生活の改善や向上にも目を向け,学校全体の集団をまとめようとする意識や活動も見られ,自分の役割や責任などについての自覚が深まってくる。
その一方で,思春期にさしかかるこの時期の児童の価値観は,ときに,理想主義的であり,一面的で独断的な傾向になりやすく,相手に批判的になったり自分の価値判断に固執しがちになったりする。また,他者と自分を比較して自分に自信がもてなくなったり,些細なことで友達との関係が壊れたり,友達への不信感をもったり,傷付いたりして悩みや不安を感じるようにもなる。また,この時期の学級は,男女など心身の成長の差が大きい中で,共に生活していることも特徴の一つである。
第6学年になると,児童会活動やクラブ活動,学校行事などにおいて中心的な役割を担うようになり,最高学年としてリーダーシップを発揮しようとするなどの意識や態度も育ち,役割や責任を自覚して活動するようになる。また,思春期特有の不安定な感情がより大きくなり,人間関係に悩んだり,先頭に立って活動することに消極的になったり,中学校生活への不安を抱きながら生活する児童も少なくない。
そこで,教師は,このような高学年の学校生活における発達的な特質を踏まえ,高学年としての役割や責任を果たしたり,最高学年としてリーダーシップを発揮したりする活動を多様に設定するとともに,多様な他者を認めることの大切さを実感できるようにしたり,友達の大切さを経験を通して理解できるようにしたりすることが大切である。特に,この時期に自分への自信が大きく低下する児童が多い傾向にあることが指摘されていることを踏まえ,下学年の児童の面倒をみたり,より高い目標をもって様々な役割を担う体験を通したりして,困難を越えて目標を達成できるようにしたり,このことについて互いが認め合えるようにしたりして,自分への自信がもてるようにすることが大切である。また,現在及び将来の自己の生き方を取り上げたり,中学校の学級活動等の指導との関連を図った指導計画を作成したりするなど,いわゆる中1ギャップにかかわる課題に配慮し,社会的な自立を高める中学校への指導につなぐことができるような教育活動を重視する必要がある。高学年においては,これらのことに配慮し,望ましい集団活動を通して,男女が
協力するなど,信頼し支え合って楽しく豊かな学級や学校の生活がつくれるようにするとともに,日常の生活や学習に自主的に取り組むことができるように指導することも大切である。
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