今日の一言 4月6日 日本の伝統芸能
- 公開日
- 2015/04/06
- 更新日
- 2015/04/07
校長雑感 一隅を照らす
私の通っていた大学には「邦楽科」がありました。
邦楽科の学生は、洋楽(クラシック)を専攻している学生とは感覚が違いました。
『私たちは、合奏をしていて、みんなとリズムがあった演奏をしてしまうことを恥ずかしいと思います。邦楽では、少しずれていることが粋なのです。
縦のリズムも音程もぴったり合った演奏をしている皆さんの演奏を聴くと気恥ずかしくなってしまいます。』
面白いなぁ、と思いました。
ドイツの伝統のあるオーケストラは、一緒に音を出すとは、「音程の一番低い楽器・コントラバスが最初に音を出し始め、一番高い音程の楽器・ヴァイオリンまで順番に、0,0何秒づつずらしながら演奏すること」
そうすると、舞台から離れた、客席では、ド—ンと重厚な響きのする音が生まれます。
アメリカのオーケストラは、そんなことはしません。合わせるとは、一瞬のずれもなくパーンと一斉に演奏します。
『合っている』という意味が、クラシック音楽でもこんなに違うのですから、洋楽と邦楽で、全く違うのは当然かもしれません。
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もっと自由でいいんだろうな、と邦楽科の彼の話を聞いて考えされました。
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昨日、桃陽地区の方で【後見】をなさっている日本舞踊の会にお誘いいただきました。
踊りも素晴らしかったのは言うに及びませんが、長唄などの演奏に強く惹かれました。リズムがずれるのも面白いのですが、すごいなと思ったのは、唄の音程の微妙に不安定なことでした。
意図して、わずかに高く、わずかに低くすることで、本来の音程に戻ろう、戻ろうとする磁石のような感覚が、音の表情として出現するのです。
踊りや歌詞にぴったりのその不安定さは、譜面に書けるものではありません。
邦楽で正しく演奏するとは、正しく音程をや縦の線を外すことなのでしょう。
では、洋楽(クラシック)はどうなのでしょうか?
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写真
「幻お七」
2015年4月5日 山村流あやめ会
狭山市 SAYAKAホール