学校日記

今日の一言 6月15日 音のない時間

公開日
2015/06/15
更新日
2015/06/15

校長雑感 一隅を照らす

東京の都心にある小学校。

誰もいない音楽教室。
抜き足差し足で20名ほどの子どもたちが、音をさせないように入ってきます。
絶体に音をさせてはいけません。

静かに円陣になって座ると、A4程の大きさに切ったアルミホイルを隣の人へ順番に回していきます。
・・・音をさせてはいけません・・・


しばらく回していると、先生がトライアングルを鳴らしました。

ふーっと、大きなため息が子どもたちから聞こえます。

もう、音を出していいよ・・・という合図でした。


これは、音のない時間を体験する授業。

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学生の頃の(確か?)音楽教育という科目の実習風景。

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「音楽は、音が鳴っている時と音が鳴っていない時で作られています」

今日の音楽の研究授業で講師の先生がおっしゃっていたことです。

「だからこそ、音が鳴っていない、静けさが大切なのです」

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エベレスト登山をした知人から聞いた話です。

エベレストほど高い山になると、頂上辺りは草木もない「死の世界」になる。
色がない!白黒の世界。

やっと登ったが、早く下山したいとおもった。

頂上からずいぶん降りても死の世界が続く。

息苦しい世界。

あるところを過ぎたとき、突然目の前に黄色い小さな小さな花が。

この時の「生の世界に帰ってきた!!」という喜びは、一生忘れない。

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音のない世界を作り、音が聞きたいと熱望するまで沈黙を続ける。
そこに、かすかな「鈴の音」を鳴らしてみよう。

おそらくその音は、黄色い小さな花のように、響き渡ることでしょう。

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音のない時間の大切さ。

音楽の原点を想い起す研究授業でした。ありがとうございます。