閉じられた部屋の中のようなところ。

どこに窓があるわけでもありません。
照明も見当たりません。

でもその空間の四方八方が青白く光っています。

ぼくは、そこにペッタリとお尻を付けてしゃがみ、マッチ棒でお城を作っています。

慎重に、丁寧にゆっくりと一本ずつ・・・でも
少し積み上げると、崩れます。

チェッと思いながら、最初から・・・でも
少し積み上げると、また・・崩れます。

また初めから・・・、
繰り返すこと幾数回、何度繰り返したかわかりません。

突然、イライラしてきました。

　　　　怒りとなり、

　　　　　　　わーっ・・・と叫びながら、

ぼくは腕をむちゃくちゃに振り回すと作りかけのマッチ棒の城を思いっきり壊しました。

　　　　・・・・　静寂の中、聞こえるのは僕の乱れた呼吸の音だけ



壊れたお城の残骸からふっと目をあげると、

そこには

ダリの絵そっくりの遠近法を強調したような風景。
消失点あたりから音もなく、Ｓ字型の軌跡を残しながらこちらに向かってくるものがあります。

うわーっと大きく近づき、目の前で止まると、一言「短気は損気」

その顔は、通っていた幼稚園でよく目にしていた仏様でした。

＊＊＊　＊＊＊　＊＊＊

この私立の幼稚園は仏教系でした。たぶん、この日こんなはなしを聞いたのでしょう。

・　　・　　・　　・　　・

夢のはなしですが、私が「いらいら・怒り」を、生まれて初めて意識した瞬間でした。
私と「怒り」という感情との付き合いは、ここから始まり、まだ続いています。

でも、あのときにイライラや怒りを意識できたことは、「私」と「感情」の間に、距離感を持つことを可能にしました。

＊＊＊　＊＊＊　＊＊＊

感情が爆発し、暴走している子どもがいます。

彼に私はこの夢の話をしました。

感情の奴隷にならないように、

彼ならきっと気づいてくれると信じて。