今日の一言 8月19日 今日があなたに会う最後の日なら・・
- 公開日
- 2015/08/19
- 更新日
- 2015/08/20
校長雑感 一隅を照らす
九重連山の麓にある温泉の街。大分空港から車で2時間弱。山道は一車線で行き交う車は、相手方と阿吽の呼吸で道を譲り合わなければならない。運転しているわけでもないのに神経がすり減ってしまう。大分に勤務して数年の運転席の彼はその温泉街に何度か行ったことがあるらしく、私にいろいろと話しかけて来る余裕があった。
(大分県直入町「長湯温泉」)
「あの日のことは、もちろん忘れられません。」
観光需要がどうしたとか、同僚がどこに転勤になったかなどという、ごくありふれた話題から、どういう具合かあの事故の日の話になったのは、まさに8月12日だったから。
「私は、羽田空港で乗務員の搭乗スケジュール管理の仕事をしていました。JAL123便の乗務員を決め、『行ってらっしゃい』と送り出した。今でも彼らの後ろ姿を覚えています。まさかあれが最後になるとは。」
その後の壮絶な時間、今でも(1998年)関係者として悔恨と贖罪の日々を送っている・・・先程までの饒舌さとは比べ物にならない。彼の口からは言葉がとぎれとぎれにしぼりだされる。
泣いているように見えたら気恥ずかしいなと気にしながら、瞼の下の汗を拭きとる。やっぱり汗が入ったのかしょっぱい痛みとともに視界がかすんだ。
* * * *
ウィーンにある世界一と言われているオーケストラとその合唱団。そこで働いているご夫婦とひところ懇意にしていただきました。
とても仲がいい。素晴らしい音楽と彼らの心遣いにはいつも癒されていました。
彼らは、夫婦のどちらかが先に出かけるときは、どんなにケンカをしていても「行ってきます」「行ってらっしゃい」と声を掛け合うそうです。
この別れが最後になるかもしれない。
だから最後に覚えてもらう顔は「笑顔」にするんだと、幸せそうに見つめ合うお二人でした。
30歳そこそこの彼らが、なぜそこまでの思いに至ったのか、とうとう訊けませんでしたが・・・。
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8月は命について考えさせられる日が多い。6日、9日、15日。
そして12日。
新聞やインターネットでも、しばしば命に関する記事を目にします。
『今日があなたに会う最後の日なら、私は何をしてあげようか?』という記事が目に入りました。
ふと思い浮かんだのが、この二つのはなしでした。
残り少なくなってきた8月。まだまだ暑さは続くようですが、すこし名残惜しくなってきました。