学校日記

今日の一言 3月5日 外国語教育に想う その6

公開日
2016/03/05
更新日
2016/03/05

校長雑感 一隅を照らす

「何を言っているか、さっぱりわからない。」

  (校舎の屋根の上にソーラーパネルを取り付ける業者の責任者が、
   私に向かってこう言い放ちました。)

「とにかく、私の言っていることを信じればいいんです。
 ドイツのことやドイツ語で書かれた法律を理解することは、
 あなたにとっては難しいでしょう。
 ドイツの法律に従っていては工期を守ることはできません。
 私を信用してください」

 腹が煮えくり返るような思いで言い返しました・・
 
  あなたは、先日まで私の言うことを100%理解できると言っていたではないか。
  突然、私の言っていることが分からないというのか?

  (ところが、彼はニヤッと笑って肩をすくめるしぐさをしただけでした。)

・  ・  ・

この程度のことに負けるほど、私は弱くはありませんでした。
この手のドイツ人に鍛えられています。

言葉が通じない・・と言い切る人は、相手とのコンタクトを拒絶した人です。
このとき私は、友だちと話しているのでも、家族と話をしているのでもありません。
ビジネスの場で交渉をしているのです。マナーというものもあります。

 彼の様子から、はなしても無駄だと思った私は、こう続けました・・・ 

 わかった、では弁護士を介在させよう。
 私が信じるのは、ドイツの法律を守る人間だ。
 あなたは、ドイツ人だろう。法律がよくないと言うなら法律を変えればいい。

 私は、外国人だ。あなたたちが決めた法律を変えることはできない。
 どんな小さな活動においても法律を守り、誰に対しても説明する義務が
 運営責任者の私にはある。

 私の言っていることが、わからないと言うなら、
 もう私とあなたは、これ以上話すことはない。

・ ・ ・

一時期のドイツ政府は、原子力発電から太陽光エネルギーの活用へと
大きく舵をとっていました。
(写真:ドイツにおけるソーラー設置台数の推移。
 単位=1000。これは2011年から12年のはなし) 

施策として、期限はありましたが、太陽光発電による
売電やソーラーシステムの設置などへの
様々な優遇措置をとっていました。
前述の業者は、雨後の竹の子のように出現した
ソーラー設置業者のひとつでした。

優遇措置の期間がまさに終わりを告げようとしていた時期。
この業者の担当者は「工期を守ること」に必死だったのです。

・ ・ ・

弁護士を交えての交渉は、私の一方的な勝ちでした。
彼らは、設置作業を終わらせることもできず倒産しました。

もし、あのとき縁を切っていなければ・・・・

* * *

人間関係が友好的な場合は不十分な語学力でも何ら問題はありません。
しかし、ひとたび関係がこじれると、その国の言葉を完璧に操らない限り、
ここで話をしたようなことが起こり得ます。

・ ・ ・ ・

いくつか例をあげたおはなしは、もちろん外国に住んだ場合です。
外国語の力が必要なことは間違いありません。
では、日本人または大阪の子どもたちは、どんな語学力(英語)が必要なのでしょうか。

生活言語?
学習言語?
ビジネス英語?

(つづく)