今日の一言 3月21日 英語公用語採用論
- 公開日
- 2016/03/21
- 更新日
- 2016/03/21
校長雑感 一隅を照らす
日本における外国語のあり方や位置づけは、ある時代において日本語そのものの存在意義をも問われながら議論されました。
明治初頭、初代文部大臣の森有礼(写真)と
終戦直後、尾崎行雄が主張した「英語公用語採用論」
やはり終戦直後、志賀直哉が主張した「仏語公用語採用論」
そのような議論があったことを知ったのは、ミュンヘン日本人国際学校で「国際感覚育成と関連付けた外国語教育(ドイツ語)」について、校内でプロジェクトチームを立ち上げたころでした。
当時、日本人学校は小学校1年生から週6時間のドイツ語授業を義務付けられていました。バイエルン州の許認可の都合でした。
授業は実施しているものの、英語ではなくドイツ語を学習しなければならないことに、
保護者や教員間でも問題になっていました。
子どもたちも、ドイツ語より英語に興味があります。今一歩、学習に身がはりません。
このような時、専門的な助言を期待して、共同プロジェクトを立ち上げようと、ドイツ語教育を専門とする在京の大学に呼びかけたのです。
2012年2月。
当時、理事・事務局長として某大学に宛てて書いた文書です。
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貴校と公教育を背景に持つ本校と共同して
「日本語教育、外国語教育とは何か、どうあるべきか」
更に「国際感覚育成と関連した外国語教育」
という本質的な研究、実践を進めたい。
日本における外国語のあり方や位置づけは、
ある時代において日本語そのものの存在意義をも問われながら議論されました。
明治初頭に後の初代文部大臣森有礼、
終戦直後に尾崎行雄が主張した「英語公用語採用論」
やはり終戦直後、志賀直哉が主張した「仏語公用語採用論」
昨今では語学習得の最終目的が「バイリンガル」や「実用英会話」であるかのような風潮もあり、混乱の時代が続いています。
・・・中略・・・
小学校から大学・社会人に至るまで、全国で英語教育推進の流れが出来つつあるように思われます。しかし、日本のみならずドイツにおいても、市場原理の価値観を基準とした言語教育が実施される方向にあるように思えてなりません。
『教育とは市場が与えないものを与えること(「日本語が亡びるとき」水村美苗著)』であるとするならば、私たちは、ひと時でも立ち止まり、「日本語教育とは何か、外国語教育とは何か。どうあるべきか」を今一度考えてみる必要があるのではないでしょうか。
更に、「日本人の国際感覚の欠如」が問題とされている中、「複文化と複言語の国際的な環境の中で活躍することを求められる日本人の行動規範は如何にあるべきか」など多面的な取り組みを期待しています。
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週末に、書類を整理していて、この文書が出てきました。
全ての子どもたちが学習する外国語として、何がふさわしいのか・・・
あらためて考えさせられました。