学校日記

今日の一言 6月14日 音楽は楽しめばいい!!(?)

公開日
2017/06/14
更新日
2017/06/14

校長雑感 一隅を照らす

音楽は楽しめばいい・・とよく耳にします。
難しい顔をして音楽を演奏したり、学校で教えたりしているのは、音楽の本筋から外れている。そういう人がいます。
そうなのかもしれません、
いや・・
そうではないのかもしれません。

・・・
音楽の基礎能力について調べました。

「音楽の授業はつまらない」と言っていた時代の子どもの方が、
「音楽の授業が楽しい」と言っていた時代の子どもより、音楽の基礎能力がある。

・・・という研究があります。

音楽の基礎能力を計るために、質問を作成したそうです。
たとえば、

・音程がおかしいと人から言われる
・リコーダーで曲を吹くことができない
・音符や記号の名前はほとんど知らない
・簡単な楽譜(ド・ミ・ソ、四分音符のみ)を見ても
 どんなメロディーかわからない
・メロディーの音と伴奏の和音が合っていなくてもわからない
・長調と短調の違いがわからない
・音名(ハ・ニ・ホ)と階名(ド・レ・ミ)の区別がつかない
・歌詞のないメロディーを聴いてもすぐ覚えることができない
・・・

この質問の回答と、同時に質問した「音楽の授業が楽しかったか・つまらなかったか」
の答えを比べたところ、上記の研究結果が導かれたようです。

(危機に立つ音楽科教育 大熊藤代子・共著 遊タイム出版 2002年)

昭和40年前後は、音楽的な能力の伸長を重視。
昭和50年ごろからは、「音楽を愛好する心情」の育成が前面に出てきた・・と。

その後、平成の時代へ移り、更に30年が経とうとしています。

・・・
音楽の喜びが、音楽的な技能の習得と別に語られることは、本来違うように思います。

演奏すること(能動的)も聴くこと(受動的)も「音楽すること」であり、
演奏がうまくなれば、音も聞こえてくる。
音が聞こえてくれば、演奏がうまくなる。
音が聞こえてくる(鑑賞能力)ということは、楽しい。
上手に演奏できれば、楽しい。
そのために、音楽的な技能を身につける。
譜面が読めたり、音程よく歌えたり、リコーダーが吹ければ、音楽は楽しいはずです。

・・・
ただ、音楽的な技能を身につけるとき、叱ったり怒ったりして「ちゃんとしなさい!」「真面目にしなさい!」なんていう言葉が教室の中で聞こえるようだと、それはつまらないかもしれません。

音楽的な正しさは、自然の摂理に沿っているだけにかなり厳密です。
その正しさの向こうに表現があります。
楽しみながら技能を身につけ、身につけた技能で更に「音楽すること」が楽しくなる。

そんなことができたら、いいな!と思います。