学校日記

今日の一言 2月23日 働き方改革 14 私にとっての事件の数々3 自動車の鍵2

公開日
2018/02/23
更新日
2018/02/23

校長雑感 一隅を照らす

有名な観光地リューデスハイム。
ドアにキーをさしたままの一台の自動車を見つけました。

これは、助けてあげなきゃ!!
急いで、どうにかしなければ車が盗られてしまうかもしれない・・
目の前にはレストランがある。

「あなたの車のドアにキーが差しっぱなしでした。
 キーは道路の向かい側のレストラン○○○にあづけてあります」
 というメモをワイパーに挟んで、レストランにキーを持ち込み、
 自分の車に戻る・・・おそらく数分程度だろう。

そう見込んだ私の体はすぐに動きはじめました。

・・・

思い通りに事は進みました。レストランの人も快くキーを受け取ってくれました。
息子たちにも、こうやって人助けをするんだよ・・・などと得意になって話しました。

数時間ハイキングをして、黄昏の中悠々と流れるライン川を後に帰宅しました。
とても楽しい週末が過ぎたのです。

・・・

数日後、自宅の郵便受けにとても地味な色の封筒を見つけました。
役所から来る手紙は、いつもこんな封筒です。
送り主は、先週末遊びに行ったリューデスハイムの街を所管するヘッセン州の州都ヴィースバーデン(Wiesbaden)の警察です。
はっ!としました。車のキーのことを思いだし、警察から感謝状でももらえるのかな・・と思いました。

少しワクワクしながらそわそわと封を切ると、出てきたのは
「Bußgeldbescheid」なる代物。
要するに「駐車違反の罰金通知書」。
場所は、リューデスハイム。
日付は先週末。

冗談じゃない!
すぐに警察に電話しました。
この手の文書にはWiderufen(撤回要求)するための窓口が書いてあります。

・・・
これはどういうことですか?

 「書いてある通りです。」

私はあの時・・・で・・・だったので・・・(事情を説明しました)

 「駐車禁止は、駐車禁止です!」「証人もいます。」
 「通りの反対側の居住者から通報がありました」

えっ! えっ! でも彼は事情を知らないでしょ。今お話した通りです。
罰金を取り下げてください!!
 
「Da kann man nichts machen! どうしようもありません!!」

(「証人がいます」???
 ドイツの街でよく見かける光景。
 アパートの窓から、何をするでもなく日がな一日通り眺めている
 お年寄りがいます。ああこういうことか・・・??)

***

言葉に自信もなく、ドイツ人とやり合う強さ方法も知らなかった若い時でした。
これ以上何もできませんでした。

その後、ミュンヘン日本人国際学校で事務局長・理事をした後は、こういう時にどうしたらいいか分かるようになりました。いくらでもやりようがあったのですが、当時は、まだまだ知らないことできないことばかりでした。理不尽な思いのまま、罰金を支払ったのです。

***

この程度は大丈夫だろう、だって良いことをしているのだから・・・
この考え方は通らない国なんだ。

私はこれに懲りず、まだまだ同じような失敗を繰り返します。