学校日記

鷹合ひろば 第6号 その2〜肝だめし編〜

公開日
2022/11/20
更新日
2022/11/20

PTA 新聞

 校舎の窓を照らすアカリ。
子ども達がつくった提灯?それとも・・・。

 午後7時。雨上がりで蒸し暑い秋の夜。

 「こっち!!そっと!」足早に家庭科室へむかったのは、6年生の保護者たち。子どもたちには内緒のミッション。誰が、何に化けるか、家でも秘密でした。

「押し入れに衣装を隠していた」
「USJのハロウィンでも使ったモノ」
「はんなりしてるやろ、立ち方や手の重ね方も研究してん!」
 能面をつけながらゲラゲラと笑う異様な光景です。ドンキで買った血のりが大活躍し、お地蔵さんや一反木綿、ヌリカベも血みどろに。

 いよいよ配置につくと、
壁に隠れるか廊下でしゃがむかと念入りに打合せ。
堀尾先生と奥野先生は「1年かけて用意してきた、中途半端なことはしない」と気合十分です。

 午後8時。「もういいかい?」「まあだだよ…」。
 静かな校舎に絶望的なBGM。(校長先生セレクト)蒸れたマスクに耐えながら待つ間、だんだん怖くなってきました。

 子どもたちが提灯に描いた絵が、ピンク色に浮かびあがると、
「来た来た来た〜!」と、お化けたちは、子ども以上に大はしゃぎ。

 1階の低学年の廊下を通り、3階の理科室のお札を目指す子どもたちの前に突如現れたのは・・・。

襲い来るゾンビ! 髪をふり乱す博士!! 
13日の日曜日に待ち構えるジェイソン!
背後に忍び寄るアノニマス!謎の人形を抱えた熊!
そして、はんなりと立つ能面…。

「無理無理×100」「絶対ここに何かいる〜」 
       ヒーーーーーー!!!

 悲鳴が次々響きわたりました。
走り抜ける子、歌って鼓舞する子、
足がすくんで進めない子、
落ちた提灯を拾う事すらできない子。
それでもお化けは容赦しません。
   ヴオオオオオ!!!!!ギャーー!!!

 そんな時癒してくれたのは、小さなスクリームとカオナシ。(2年生と3年生)。一生懸命驚かせる姿が可愛いと、抱きしめていました。

 ガイコツの横でお札を守るのは教頭先生。「こっちやで〜♫」
優しすぎるからこそ警戒するんですよ!あれ?先生なのにリーゼントの短ラン・・。

 一方で、「全然怖くないわ!」「正体わかっているで!」お化けを逆に威嚇する子どもたちとは、大人のプライドをかけた戦いの場になりました。笠井先生扮するピエロは執拗に追いかけます。
  
 子泣きじじいが見つめるメトロノームの音が聞こえたら後はゴールを目指すのみ!

 全ての班が帰ると、衣装を脱いでネタ晴らし。仮面をとると…。

「おかあ!」意外な顔の登場に大笑い。さっきまでの涙が嘘のようです。

 母がおばけだった男子「いってらっしゃいと送り出してくれたのに、びっくりした」

 2組の女子「友達としがみつきながら歩いた。隣で叫ぶから余計に怖かった、でも楽しかった」

 友達と繋いだその手の温もりを、笑いあったこの瞬間を、大人になっても覚えていてな。一生懸命頑張る大人の姿もちょっとだけ思い出してな。

 校舎の窓を照らしていたのは、暗闇を抜けた子どもたちを迎える温かなアカリ。
 ふっと消えると秋の冒険は終わりました。