学校日記

一隅を照らす(卒業式式辞の続き)

公開日
2021/03/12
更新日
2021/03/17

校長より

 伝教大師最澄が818年に書いた「山家学生式(さんげがくしょうしき)」の冒頭部分の言葉の一部です。卒業式の式辞に引用させていただきました。
 全文は「径寸十枚、是国宝に非ず。一隅を照らす。此則ち国宝なり。」です。

 見るも見事な、直径一寸にもなる大粒の宝珠、それがたとえどんなに多くあっても、そんなものは、国の宝でも何でもない、本当の意味で国の宝というものは、自分が生きる一隅を照らす人のことだいという意味です。

 この「一隅を照らす、(照于一隅)」には、「一隅を守り、千里を照らす(照千一隅)」が正しいという説もあります。

 故事では

 斎の威王と魏王の問答で、魏王が「我が国には、直径一寸、車十二台分を照らすほどの国宝の珠がある」と自慢したところ、威王は、「我が国の宝は宝石類などではなく、四人の優秀な臣下である。彼らはよく国の一隅を守り、まさに国の宝として千里を照らすものだ」と答えた。

 とあり、最澄はそこから引用したというものです。

 この二つの違いは、「自分の場所で頑張る人が宝」なのか、「優秀な者が宝」なのかということです。日本人は最澄以来1200年「自分の場所で頑張る人が宝」としてきました。

これはこれからも変わりません。
 
 歴史を動かしていくのは、いつの時代でも、一隅を照らす人であり、世界は、そうした一人ひとりの真摯な貢献によって成り立っています。ぜひとも、一隅を照らす人になってください。

 卒業おめでとう