学校日記

5/12 全校集会 いじめ・いのちについて考える日

公開日
2025/05/12
更新日
2025/05/12

校長より

 本日の全校集会は、賞状の伝達(陸上部 個人、女子バレーボール部)、生徒会からの連絡、校長講話をおこないました。

  校長講話(要約)
 今日は「いじめ、いのちについて考える日」です。いじめについて皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
「いじめについてどう思う」と質問すると、ほとんどの人が「いけないことだと思う。」「許される行為ではない。」との答えが返ってきます。いじめは人の心や体を傷つける行為であり、大きな人権問題です。「人間として決して許される行為ではない。」ということは、誰もが知っています。社会全体でも、いじめを許さないため、「いじめ防止対策推進法」という法律までつくりました。それでもいじめはなくなりません。どうしたら、いじめはなくなるのでしょうか。
 明治大学教授の諸富 祥彦先生は、いじめについて次のように述べられています。「いじめの本質は、空気です。空気に逆らえなくなることです。空気とは、人々の気持ちを支配するようなその場の状況、雰囲気をいいます。この空気に皆が支配されて、従わざるをえなくなっていく。「なにかおかしいな」と思っても、何もできないまま時間が過ぎていき、どうにもできなくなってしまい、いつの間にか人が深く傷ついたり、命をも脅かされたりしてしまう。それが、いじめというものの正体です。」
 いじめの本が空気だとすれば、いじめを防いだり、いじめをなくすためには、この空気に支配されないようにすること、空気を作り出さないようにしなければなりません。
 そのために、まず、被害にあっている人は、自分の置かれている状況が「いじめである」と認識をもつことです。これがいじめを解決していくスタートだといわれています。いじられたり、仲間外れにあったり、SNSで書き込まれたりなどいろいろなケースがあげられますが、その時に自分で「いやだな、おかしいな」と違和感を抱くこと。そして、「自分がいじめられているとは思いたくないけど、もしかするとこれはいじめかもしれない。まずは、先生や保護者に相談してみる。」と行動をおこすことが、いじめを解決したり、防いだりすることにつながってきます。
 もう一つ大切なのが、周りの人が傍観者にならず、いじめの空気に立ち向かうことです。立ち向かうカギは、「いやな雰囲気だな。」「それっていじめじゃないの。」など身体で感じる違和感を「まあいいか」と流さず、その違和感を持ち続けることです。そして、自分にできる行動を起こしてみることです。自分にできる小さなことを積み重ねていくことで、徐々に空気は変わってきます。
 生徒たちが「小さな変化」を起こした実話を紹介します。
2007年、カナダの二人の高校生から始まった「ピンクシャツ運動」です。
中学校と高校が一緒になっている学校で、中学校の男の子が、ピンク色のシャツを着て学校に登校しました。そのことが発端となり、周りの生徒から性的なからかいや暴行などのいじめに遭いました。その出来事を聞いた上級生(高校生)の2人が、「いじめがある学校は嫌だ」「何か行動をしよう」と思い、たくさんのピンク色のシャツを買い集め、ネットの掲示板やメールを通じて「明日は、みんなでピンクのシャツを着よう」と呼びかけたのです。次の日のその二人がピンクのシャツを配ろうと学校に行くと、登校してくる友達の多くがピンク色のシャツを着て登校してきたのです。シャツが用意できなかった生徒たちは、リボンやハンカチなど、ピンク色の小物を持って登校してきました。
このとき、ピンクのシャツを着ることは、いじめのターゲットからカッコいいにかわたのでした。それ以来、その学校では自然といじめはなくなったのです。
 みなさんも、この話のように「いじめは、許されない行為で、いじめはカッコ悪い。」「いじめを止めようと行動を起こすことはカッコいい。」という認識をしっかと持つようにしてください。そして、クラスや部活動では、誰もが思ったことが言え、意見の違いや考え方のお違いを認めあえる、そんないじめが起こらない温かな雰囲気をつくっていってください。茨田中のみなさんなら、きっとできると先生は思っています。