卒業おめでとう!磯路小学校を旅立つ六年生の皆さん、卒業おめでとうございます。 あんなに小さくて可愛らしかった一年生が、年ごとに成長して、こんなに大きくなりました。あの子、あの子が転校していきました。この子、この子が転校して来ました。あの子もどの子も、すべての六年生たちが、間もなく、桜の花が満開になる、来週・再来週にはもう中学生です。 君たちは、おぎゃーとこの世に生まれてから今まで、たくさんのものを譲り受けてきました。お腹がすいたといっては泣き、眠いといっては泣き、淋しいといっては泣き、何一つ自分ではできませんでした。ご家族の皆さんの愛情をたっぷりと受け、すくすく成長し、小学校生活六年間で、自分のことは自分でできるようになってきました。これからは、人のために何かできる、人の役に立てる人に、「してもらう人」から「してあげる人」になってほしいと願います。そして、いよいよ中学生。中学校で何をするのか、何のために中学校に行くのか、中学校生活最大のめあては「大人になる」ことです。体も、頭も、心も、大きく成長して、三年後の姿を今から楽しみにしています。 人生何が起こるかわかりません。 元気ですか?がらがらボイスの時間です。 君たちとの出会いは、一方的な、YouTubeであり、テレビを通してでした。君たちとはじめて出会ったのは、五年生の五月十三日、分散登校の日でした。それ以来、様々な制約のなかで、マスク越しにコロナの非日常を過ごしてきました。 今、君たちを前にしてまず思い出すのは、秋の林間学習です。爽やかな秋晴れの鉢伏登山が一転して、雲に覆われ雨の下山。お昼にお風呂に入ってからの暗闇でのカレー作り。君たちは身をもって「臨機応変」を体験しました。その苦楽をともにしてこその「ワンチーム」。好きなもんどうしの「友だち」だけなく、ともに学ぶ「仲間」として最高学年を迎えました。 その六年生になって、いきなり「来週からオンライン学習」。一人一台端末持ち帰り。九月になって二週間の学年休業、オンライン授業。今まで体験したことのない新たな生活。 想定外のしんどい状況で、慌て騒ぐことなく、責任転嫁、他人のせいにすることなく、今できることをする、最善を尽くす、まさに「臨機応変」、君たちも先生たちも本当によくがんばりました。その積み重ねの成果が、このオンラインハイブリッド卒業式です。今まで誰も見たことも聞いたこともない前代未聞・最先端の卒業式を今行っています。先ゆき不透明な、答えのない世界、何が起こるかわからない不安な未来を生きる力が確実に育っているのです。 そして何よりも、平和。七十七年前の三月十三日、卒業式の前の日の夜に大阪大空襲。ここにあった音羽国民学校も磯路国民学校も焼けてなくなりました。磯路の町も燃えてなくなりました。その空襲を体験した辻和子さんのお話も直接この講堂で聞きました。皆さんが平和学習で学んだこと。この『磯路の子』に記した平和への思いを胸に、今一度、自分たちで描いたキッズゲルニカを見てみましょう。そこにはウクライナの国旗も見えます。 本来ならそこに地域の方々がずらーっと並んで座って、皆さんの晴れ姿を見てくださっている、はずが、誰もいません。皆さん、見たかった、行きたかった、見送りたかったとおっしゃっています。卒業式には参加できないけれど、たくさんの「気持ち」を預かってきました。地域ご来賓の皆さんになりかわって、あらためて、ご卒業おめでとうございます。君たちは見えないところで、たくさんの人に見守られているのです。 そして、五年生の皆さん、この卒業式は君たちが最高学年になる儀式でもあります。火曜日からの姿を楽しみにしています。 最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業、心よりおめでとうございます。大きなランドセルを背負って、足をぶらぶらさせていた子どもたちが、あっという間に中学生です。また一歩、大人への階段を上っていきます。これから先も、末永く、この子たちの成長をともに見守らせてください。本日は、本当に、おめでとうございます。 人生まっすぐ青春まっしぐら。とことんがんばれ。 それでも、ほんまにしんどい時は、帰っておいで。 いつも・そこが・じぶんの居場所・い・そ・じ。 ほな、ぼちぼちいこか。 卒業おめでとう! 令和四年三月十八日 大阪市立磯路小学校長 糸 井 利 則 |