大型連休が終わりました。気持ちに緩みはありませんか。
今日は、大阪市全体で「いじめについて考える日」になっています。はじめに少し長くなりますが、今から4年前の2014年1月8日に、いじめが原因で自ら命を絶った松竹景虎くんが書き残した「空気」という作文を読んでみたいと思います。
松竹くんへのいじめが始まったのが、中学校3年生の1学期、学級委員になったことがきっかけだと言われています。一部のクラスメイトから、「ウザい、キモい、死ね、上から目線」という悪口が始まり、次第に悪口はクラスメイトの半数以上に広がっていったそうです。その中には、もともと松竹くんと仲がよかった友達も含まれていたそうです。
そんな状況の中で、夏休みに書いた作文がこれから読む「空気」という作文です。
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「空気」松竹景虎
情報社会である現在、私たちには毎日膨大な数の情報が流れてくる。その情報を受け取る手段は例えば、テレビのニュースだったり新聞であったりするが必ずといっていいほど目にする記事がある。それがいじめ問題だ。
「中学生の男子生徒が、高校の女子生徒がいじめにより自殺しました」などという事件が起こるのが最近は当たり前と思う人がふえていると思う。それを感じるたびに私は人間の「慣れる」という特性に恐怖してしまう。初めてニュースで自殺の記事を目にした時のことを思い出してみよう。おそらくほとんどの方が衝撃を受けたと思う。その時の感情を常に心においておけば、いじめはなくなるはずである。そう、もっと他の思いもよらないところに原因があるのではないかと私は思う。
それをいう前にいじめの加害者の気持ちを想像してみた。いじめをするメリットなどないと私は思っているからだ。主な理由は二つほど考えられる。
まず一つ目、いじめという行為が楽しい。これは、クラスでいじめについて話し合ったときに一番最初に出てくる意見だ。「相手の反応がおもしろい。そいつが気に入らない」などが、よく補足としてつけ足される。もしこれらの考えが正しければ、私はいじめの加害者の将来が心配になる。人を痛めつけることでしか快感が得られないのであれば、犯罪をしてしまう可能性が高いと思う。他人のことを考えずに自分の利益を優先しているからだ。この手のいじめの加害者は恐らく、自分がその苦痛を知ることでしかやめないだろう。
二つ目は、周りの友達に合わせているからだと考えられる。周りの友達に合わせるとなぜいじめが発生するのか。例えば、友達から「あの人嫌い。あなたもでしょ」と言われたら「いいえ」と答える勇気があるだろうか。そうほとんどの人が自分が嫌われないように生活しているのだ。先ほどのような会話が数人の間で成立してしまえば、いじめは発生してしまうのだ。もし少しでも友達が嫌いな子に優しくすれば、そのことを責められ、今度は自分がいじめの対象になるのではないかという不安と恐怖にかられる。それの連鎖がおこるから、周りの人に合わせるといじめがおこる可能性があると思う。
もっともたちが悪いのは後者の方だ。なぜならいじめが完全に終わることがほとんどないからだ。対象者が移り変わってもいじめは続く。
では、いじめの原因は何か伝えよう。それは、「空気」だ。空気というのは雰囲気などの方の意味だ。これが目に見えないものだから恐ろしい。いじめをしなければ自分がやられてしまうという空気、いじめに参加しないといけないという空気。そう、いじめの加害者・主犯でさえも空気によって動かされているのだ。
この問題を解決する方法はただ一つ…。みんなが親友になることだ。今、こいつはバカか、それができないからなくならないんだろうと思っただろう。でも同時に笑わなかっただろうか。そんな簡単な発想かと。そう、実はすごく簡単なはずなのだ。そこに自分の損得が介入してくるから上手くいかない。人の笑顔は人を笑顔にし、その笑顔がまた別な人を笑顔にすると思う。世界から笑顔がなくなれば間違いなく世界は滅ぶだろう。僕の好きな歌にこういう歌詞がある。「空気なんてよまずに笑っとけ、笑顔笑顔、笑うかどには福が来る」暗い顔をしていてもいいことは起こらない。
いじめの加害者は本当にごめんと一言いえば必ず許してもらえるだろう。人からの情報を鵜呑みにしてはいけない。偏見や憶測だけでその人の性格を決めつけるのはよくない。笑顔で話さなければ相手の性格はわからない。
学校で習う数学の公式や英単語を忘れても笑顔の大切さだけは忘れないでください。
どう感じましたか。松竹くんは、いじめの原因は、クラスメイト達が周りの友達の目を気にして生まれる「空気」だと言っています。話を合わせないと自分が浮くのではないかという不安。浮いてしまうと次は自分がいじめられるのではないかという不安。こういった空気がクラスにあれば、そこからいじめが生まれてくると指摘しています。
そんな空気を生まないために大切なことは何でしょうか。先生はこれまで全校集会で、「一人一人にとって居心地のいい学級になっていますか」「自分がされて嫌なことは人にしないようにしよう」逆に言えば「人にしてもらってうれしいことを、他の人にしてあげよう」、そして、「ありがとう」という日本語で一番美しい言葉で、学級を満たそうとお話してきました。それらが実践されれば、それぞれの学級がさわやかな空気で満たされ、そこからはいじめは生まれてこないと思います。今日の話をもとに、学級でも話し合いを進めてほしいと思います。