大阪市小学校教育研究会国語部では、毎年、児童文集『大阪の子』を発行しています。これは、全市の小学校から児童の作文を募集し、応募のあった作品の中から優秀なものを選んで冊子にしたものです。
このたび、本年度発行の『大阪の子』56号に、4年生、森田 紗杏子(もりた さあこ)さんが3年生の時に書いた作品「しょう来のゆめ」が掲載されました。
選者評「しょう来のゆめをもつきっかけとなったできごとをよく思い出しながら、書いています。また、実さいにかんごし体験へ行き、さい血体験をしたときの気持ちが読む人にもいきいきとつたわってきます。体験を通してかんごしになりたい気持ちが強くなり、作者がゆめに向かって進んでいこうとする強い思いが、しっかりと書けている作品です。」
それでは、作品を紹介します。
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しょう来のゆめ
森田 紗杏子
わたしのしょう来のゆめは、かんごしになることです。
小学校一年生の時、わたしは入院しました。入院する日が近づくと、とてもこわい気持ちになりました。病院のことがあまりよく分からなかったからです。
でも、そんなわたしを見たかんごしさんは、とてもやさしく、親切にお世話をしてくださいました。わたしは、そのかんごしさんの様子を見て、わたしも、やさしいかんごしさんになりたいなと思いました。一日に何度もわたしのそばに来て、はげましてくれたり、声をかけてくれたりして、とても心強かったことを今でも覚えています。
小学校三年生の十一月に、お母さんといっしょに、かんごし体けんに行きました。場所は、わたしが以前入院した北野病院でした。病院には、たくさんの小学生や中学生が来ていたので、とてもおどろきました。
この日は、いろいろなコーナーがありました。「さい血体験」や「松葉づえ・車いす体験」、「エコー・レントゲン体験」など、いろいろ体験した中で、わたしが一番心にのこったことは、「さい血」です。さい血は、いたいし、こわそうなので、とても苦手です。さい血用のはりをさすまでに、うでをゴムひもでしばったり、消どくをしたりします。
いよいよわたしの番になりました。はりをさすときは、うまくできるかとてもどきどきしました。わたしの手は、きんちょうのためにあせでびっしょりでした。でも、さい血の体験が終わったとき、かんごしさんが、
「上手にできたね。」
とほめてくれました。わたしは、とてもうれしかったです。
かんごしさんは、かん者さんのふ安な気持ちを少しでもなくすために、気分が悪くなっていないか様子を見たり、いろんな言葉をかけたりしながら、その他にもたくさんの仕事をしていると教えてくれました。わたしは、目の前のかん者さんのことを考えながら、たくさんの仕事ができるなんて、かんごしさんは、すごいなと思いました。
二番目に心にのこっていることは、きゅう急車体験です。初めて乗ったきゅう急車の中は、とてもせまく感じました。中には、たくさんのき具がありました。わたしは、こんなせまいところでかん者さんの手当てをするなんて、とてもむずかしいなと思いました。
お休みの日に、たくさんのかんごしさんたちが、わたしたちの体験につき合ってくださり、え顔でやさしく教えてくださいました。この体験をして、かんごしさんになりたい気持ちが強くなりました。
わたしは、いつもえ顔でやさしいかんごしさんになるために、これからも一生けん命がんばります。そして、多くの人の心や命を助けたいです。