校長室の本棚の奥に、「生野の民話」というタイトルが付いたコピーの綴りがありましたので紹介しています。
【利物山偏増寺】
本校からから北東へ歩いて5分、小路1丁目に「利物山偏増寺」があります。今から474年前の永正十年、円如上人が、阿弥陀如来をおまつりして建てられた古いお寺です。
大阪城を築かれる以前、高台に石山本願寺がありました。このお寺に本願寺八代の有名な蓮如上人がおられました。蓮如上人の御子実如法主が九代目を継がれました。九代目の御子円如上人が、小路村の偏増寺を開かれたのです。祖父の蓮如上人の名にある蓮の字から、蓮をこのまれて、小路村の片江の池に美しい蓮の花をたくさん集めて楽しまれました。訪れる人は「蓮の寺」と言いました。
円如上人は仏教の本から「利物偏増」の字をとって、寺の名を「利物山偏増寺」とつけられました。各地の散らばる蓮如上人の御真筆をおしまれて、御文書を「お文さん」とよんで集められました。そうして蓮の寺で、「八十巻の文書」を編纂されました。円如上人は、わが子證如上人、本願寺十代目を継がせました。蓮如上人の御真筆「お文さん」は国宝としてのこされています。
昭和10年頃、付近の住民がお墓をお迎えすることになり、蓮の池は埋められました。偏増寺の五本の白い線のある塀の壁は、本願寺より特に許された格式の高いお寺をあらわしています。