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第45回 近畿小学校道徳教育研究大会 大阪市大会

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 11月17日(金)に,十三小学校にて,近畿小学校道徳研究大会 大阪市大会を行いました。当日は,近畿圏をはじめ全国各地から,多くの皆様にご参会いただきました。参会者の皆様には,午前中は1〜6年生の公開授業を行い,十三小学校の研究発表を行いました。
十三小学校では令和4年度から道徳科の研究校として,教職員の研修と研究授業を中心とした実践を積み重ねてきました。当日は,その実践と成果の発表を行いました。
 午後からは,大阪市をはじめ,近畿各地の先生の先生方の道徳科の授業の実践を発表いただき,その実践について活発な討議が行われました。授業の方法論だけでなく,実践に至るまでの児童理解や教材研究,授業後の評価の方法についての分科会もありました。
 さらには,堀田竜次 教科調査官先生に,「よりよく生きるための基盤となる道徳教育の推進・充実」と題して,ご講演をしていただきました。午前中の公開授業の様子を踏まえ,道徳科の目標や最近の動向などのお話を伺うことができました。
 
 当日は,あっという間に時間が過ぎ,充実した一日となりました。

3年 道徳 「どんどん橋のできごと」 研究授業について

 11月に,3年「どんどん橋のできごと」の授業研究会を行いました。

 「どんどん橋のできごと」の教材は,登場人物の子どもたちが棒切れや草を川の渦に流し込んで楽しんでいる一方で,主人公の「ぼく」は,どうしようか迷った末,傘を渦の中に入れてしまいます。すると,他の友達が傘を入れたときとは違い,バリバリと音を立て,しばらく待ってからボロボロになって浮き上がってしまいます。この出来事を「ぼく」が振り返り,様々な人間関係がある中でも,正しい判断の基に行動する大切さを考えることができる教材です。
 
 実際の授業では,ポジショニングマップ(傘を入れないか入れる)で自分の考えを表すことで,本当はしてはいけないことだと分かっていながら,友達によく思われたいという心情や好奇心があることを視覚的に捉えられるようにしました。そうすることで,楽しさや周りの友達に認められたい気持ち,優越感を得たいという気持ちの中で正しい行いができないことがあることに気付くことができました。そして,どのような状況でも,よく考えて行動する大切さについて話し合うことで,善悪を判断して正しく行動するためにはどのようにすればよいのかを多面的・多角的に考えることができました。



6年 道徳 「手品師」 研究授業会について

 10月に,6年「手品師」の授業研究会を行いました。

 「手品師」の教材は,腕はよいが売れない手品師が描かれています。偶然に出会った寂しそうな男の子と翌日も会う約束をするものの,その日に,友人から大劇場への出演を依頼され,「自分の夢の実現」と「男の子との約束」の間で葛藤します。苦悩する手品師は,最終的には友人の誘いを断り,男の子との約束を守るという内容です。
 
 実際の指導では,ポジショニングを使うことで,手品師が自分の夢である大劇場に行きたい気持ちと男の子の方へ行きたい気持ちの両方で悩んでいるということについて,考えやすくなりました。また,思考ツールを使用する際に,ICTを活用することで,指導者が児童の考えを即時的かつ一斉に把握できるように工夫しました。キャンディーチャートで手品師の気持ちを視覚的に表すことで,手品師の思いを多面的に考えることができました。中心発問の場面において,「手品師にとって,大切だった思い」を考えることで,男の子を思う誠実さだけではなく,自分自身の思いを大切にするという誠実さにも気付かせることができました。


5年 道徳 「命の種を植えたい ―緒方洪庵―」 研究授業について

 10月に,5年「命の種を植えたい ―緒方洪庵―」の授業研究会を行いました。

 「命の種を植えたい ―緒方洪庵―」の教材は,蘭学者であり医師でもあった緒方洪庵が,多くの命を救うために種痘(ワクチン)の大切さを世の中に広め,多くの命を救ったことを描いています。緒方洪庵は,種痘の有用性を訴え続けるも,なかなか理解は得られません。しかし,洪庵は粘り強く種痘の普及活動を続けることで,徐々に人々に受け入れられていき,その結果多くの人々の命を救うことにつながっていきます。

 実際の授業では,緒方洪庵は「命はかけがえのないものだ」という思いから,必死の思いで行動したことに気付いていくような展開にしました。中心発問では,「除痘館を開いたのは,どのような願いが込められているのか」ということから,目の前で苦しんでいる人はもちろん,その先の天然痘の撲滅まで洪庵が考えていることに気付くことができた。生命の尊さを理解し,感じていながらも,実生活への結びつきは希薄である児童の実態ことから,緒方洪庵の人となりや行動に習い,生命の尊さを深く感じるとともに,先人たちの努力により生命が受け継がれてきたものだということを感じさせることができました。

4年 道徳 「いじりといじめ」 研究授業について

 10月に,4年「いじりといじめ」の授業研究会を行いました。

 「いじりといじめ」の教材では,「いじり」に対して何とも思っていなかった主人公が,友達の問い掛けなどにより「いじりといじめの違い」について考え始めます。教材には,軽いノリでのからかいを愛想笑いで受け流している人物や,いじることを許されたと認識している人物など,様々な言動が描かれています。そして,「これじゃあ,いじめじゃない」という一言などから,今までの安易な言動が相手を窮地に追い込んでいたことに気付かされていくことから,分け隔てをせず公平な態度で接することの大切さを考えることができる教材です。
 
 実際の授業では,導入で「いじり」の場面を提示することで,人の不得手を笑うことがおもしろいと感じたり,不愉快と感じたりすることを実感させることで,問題に対する関心を高めることができました。また,導入と終末での自分の気持ちの変容を可視化するために,ポジショニング機能を使いました。中心発問では,「いじり」は相手に対する親しみの表れと捉えられがちで見過ごされることも多いことから,補助発問も効果的に活用しながら,当人同士は楽しいやり取りとしていても,集団の中でのいじり合いは,周囲の目に不快だと感じさせることもあることが考えました。そして,「いじり」は,相手をおとしめ,いじめに発展する可能性が高く,断じて許されないものであることに気付かせることができました。


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