校長先生からのお話
『正直であることは、強さである。』
みなさん、おはようございます。
11月に入り、季節がぐっと冬へ向かっています。
空気も冷たくなり、行事や学習の面でも
締めくくりへと向かう時期です。
今日は、みなさんに
「うそをつかず、素直に生きる」
ということについて話をします。
ある哲学者の言葉に、次のようなものがあります。
「正直であることは、強さである。」
正直でいるということは、
ただ「うそをつかない」だけではありません。
自分の気持ちや失敗、できなかったこと、
不安なことを「ごまかさずに向き合う」ことでもあります。
私たちは、時々うそをついてしまいます。
それは、人に怒られたくなかったり、
笑われたくなかったり、よく思われたかったりするからです。
つまり、うそは弱さから生まれることが多いのです。
けれど、正直であろうとすることは、
自分に向き合う「強さ」から始まります。
例えば、
・宿題をしていないのに
「持ってくるのを忘れました」と言う
・友だちに言われたくないことを隠すために、
少し話を作ってしまう
・自分のミスを誰かのせいにしてしまう
こうした小さなうそは、一度つくと、
また次のうそが必要になります。
気がつくと、心が重くなり、
自分が自分ではないような気持ちになることもあります。
ここで、みなさんに問いかけます。
「最近、自分をごまかしてしまったことはありませんか。」
もし、思い当たることがあっても、
それを言えた人は、自分に強さがある人です。
反対に、素直に「できなかった」「失敗した」
「わからない」と言えたとき、まわりの人はどうでしょうか。
きっと、責めるのではなく、助けようとしてくれたり、
励ましてくれたりします。誰だって、失敗はします。
大切なのは、失敗の「あと」の姿です。
今年、鈴木一朗氏が日本人選手として
初めてアメリカ野球殿堂入りを果たすことが正式に発表されました。
日本でもアメリカでも歴史をつくり続けた
イチロー選手は、次のように言っています。
「失敗を隠すことは、自分の成長を止めることだ。」
素直であることは、成長につながります。自分を強くします。
そして、まわりの人との信頼も深くします。
みなさんにお願いしたいことは、一つです。
うまくいかなかったときほど、素直でいてください。
「できなかった」と言える人は、必ず伸びます。
先生も、友だちも、家族も、みなさんのことを
責めたり見放したりするためにいるのではありません。
みなさんが「本当の自分」で前に進むことを支えるためにいます。
どうか、うそで自分を苦しくしないでください。
素直であることは、みなさん自身を強くします。
そして、その強さは、
これからのみなさんの人生を支える力になります。
今日からの一日を、「正直に、素直に」、
まずは一歩、始めてみてください。