さかなくんが書いた「さかなのなみだ」より
- 公開日
- 2016/09/05
- 更新日
- 2016/09/05
校長室から
9月5日
みなさん、さかなクンって知っていますか。テレビを見ていると、「ギョ ギョ ギョ」っと言って、ハコフグの帽子をかぶって登場してくる人です。
このさかなクンは、魚類学者で現在、東京海洋大学の先生をしています。子どもの頃は、ちょっと変わったところがあったそうです。それは、魚のこととなると夢中になってしまうことです。ある時、8本足のタコがかわいいと、タコに一目ぼれし、毎日タコを買ってきては眺めていたそうです。そんなさかなクンを応援したのは、お母さんです。どんなことがあっても、やめなさいと言わずに、さかなクンに付き合ってくれたそうです。
そんな、さかなクンが書いた文章が「さかなのなみだ」という本になっています。
校長先生は、この文章を読んで、今までとは違うさかなクンのことが理解できたように思います。今からその文章を紹介します。
みなさんも、このさかなクンが書いた文章の意味を考えてみてください。
◇◇◇◇◇◇◇ 「さかなのなみだ」より◇◇◇◇◇◇◇
さかなの世界にもいじめがある。
小さな学校のなかにも。
せまい社会の中にも。
中学一年生のとき、
吹奏楽部で一緒だった友人に、
だれも口を聞かなくなったときがありました。
いばっていた先輩が、三年生になったとたん、
急に無視されたこともありました。
突然のことで、ぼくにはわかりませんでした。
でも、さかなの世界と似ていました。
たとえば、メジナというさかなは、
海のなかで仲良く群れて泳いでいます。
せまい水槽に一緒に入れたら、
一匹を仲間はずれにして攻撃をし始めたのです。
けがをしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。
すると、残ったメジナは、他の一匹をいじめ始めました。
助け出しても、また次のいじめられっこが出てきます。
いじめっ子を水槽から出しても、
新たないじめっ子があらわれます。
ひろい海の中なら、こんなことはないのに、
小さな世界に閉じ込めると
なぜかいじめが始まるのです。
同じ場所にすみ、同じエサを食べる、
同じ種類同士です。
中学時代のいじめも、
小さな部活動でおきました。
ぼくは、いじめる子たちに
「なんで?」ときけませんでした。
でも、仲間はずれにされた子とよくさかなつりに行きました。
学校から離れて海岸で一緒に糸をたれているだけで、
その子はほっとした表情になっていました。
話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、
だれかが隣にいるだけで、あんしんできたのかもしれません。
ぼくは変わりものですが、
大自然のなか、大好きなさかなに夢中になっていたら、
いやなことも忘れます。
大切な友だちができる時期、
小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても、
楽しい思い出は残りません。
外には楽しいことがたくさんあるのに、
もったいないですよ。
広い空の下、
広い海へ出てみましょう。