平成30年度 卒業式 式辞
- 公開日
- 2019/03/31
- 更新日
- 2019/04/02
校長室から
明るい日差しに正門の桜のつぼみもようやく膨らみ始め、少しずつ春の兆しを感じる今日の佳き日。
平成三十年度、卒業証書授与式のご案内をいたしましたところ、何かとご多用の所を6年生の成長と、その門出を祝うために、地域・ご来賓の皆様が多数ご臨席いただきました。一段高い所からではございますが、深甚の感謝を申しあげます。誠にありがとうございます。
さて、小学校の過程を終え、晴れの卒業式を迎えた117名の6年生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。先ほどみなさん一人ひとりに卒業証書をお渡ししましたが、担任の呼称に応え、凛として立つ姿に改めて小学校6年間の成長を感じました。とても立派な姿でした。
小さい身体に大きな期待と不安を一杯にして入学式に臨んでから、早や6年。すくすくと成長し、特に最高学年の6年生になって、運動会やマーチング、作品展などの行事では、持ち前の資質と、創造的な表現能力を発揮し、見る者に感動を与え、下の学年の児童から目標とされる活躍をしてきました。また、全校オリエンテーションでは1年生の手を引き、自分の弟や妹のように優しい眼差しを向け、励ましながら大阪城を目指しました。頼もしく、美しい姿でした。
私は「堀川小学校のよき伝統」はこのようにして次の時代の子供たちへ受け継がれていくのだと、改めて実感し、それぞれの場面を、今も鮮明に思い出すことができます。
しかし、学校生活の全てが最初から順調であったわけではありませんでした。一人一人に与えられた役割や課題を最後までやり切ることは、どの人にとっても、とても大変だったはずです。うまくできない自分に腹がたったこともあったでしょう。友達との気持ちのずれや誤解が生じたこともありました。その度に、お家の人や友だち、先生方の協力や励ましに支えられ、しんどさや厳しさを乗り越え、ようやく高い目標に届いた日々でしたね。
そして、簡単ではないことをやり遂げた後には、替えがたい充実感・達成感がありました。
保護者のみなさま、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。それぞれのご家庭では、日々、お子達の成長を喜ばれる一方で、課題に向き合い、真剣で、時には思いつめたような彼らの表情にハラハラしながら応援していただいたことと思います。誕生の日から、小学校を卒業するこの日まで、楽しい時も苦しい時も、常にお子様に寄り添い、心を砕いてこられました。そしてある時は、彼らの屈託ない笑顔に支えられながら、子育てという一大事業に向き合ってこられたのではないでしょうか。保護者の皆様の感慨も一入のことと存じます。
誰しも経験することですが、お子達はいよいよ思春期を迎え、「親からの自立を果たす」という、大きな人生の通過点、節目に達することになります。今まで以上に子どもたちと心を通わせながら、さらなる成長への道筋を見守って頂きたいと思います。
昨年6月に発生した大阪北部地震の深刻な被害は、8年前の東日本大震災を彷彿とさせ、突然襲ってくる災害の恐ろしさ、また、日頃の心構えと同時に、子ども達の命と安全を、学校と家庭・地域が強い結びつきの中で守ることの大切さも痛感させられました。「当たり前の日常は、決して当たり前ではない」ということも学びました。そして保護者への引き渡しが昨年度の訓練通り、粛々と実施できたことは賢明なる保護者のご理解、ご協力のお蔭と感謝申しあげます。
さて卒業生のみなさん、私たちの住む美しい「水の星、地球」は宇宙空間の中で46億年前に誕生し、長い長い歴史を刻んできましたが、人間の歴史はそれに比べると、ごく短い期間でしかありません。そして、みなさんが生きていく未来社会は人工知能(AI)が急速に発達し、たくさんの情報があふれ、社会の様子が大きく変わっていくことでしょう。しかしながら、生活が便利で効率的になることの全てが、私たちにとって良い結果になるわけではないと思います。ますます人間らしさが失われていく時代、人間自体が不必要とされる時代になってしまわないでしょうか。今こそ「人間が人間らしく生きていくための、本当の力」が求められていると思うのです。これが2月に行った社会科の授業で伝えたかった私のメッセージです。
決して難しい事ではなく、みなさんは自分の最もよい所、堀川小学校で培った「自分自身に厳しいけれど、相手にはやさしく。そして、すなおでかしこい自己」をますます磨いてほしい。
みなさんは私だけでなく、ここに集まった人すべての「希望の種」です。「夢の力」を信じて「強く」「正く」「美しい」心をもつ、「夢を形」にできる大人に成長してください。みなさんの活躍を期待しています。
結びになりますが、本校の学校経営と教育環境の充実にお力添えを頂きました学校協議会のみなさま、本校教育のパートナーとして深いご理解と力強いご支援を頂きましたPTAのみなさま、そして本校の子どもたちをわが子のように、常に温かく見守り、育んでいただきました地域・ご来賓の皆様に深く感謝申しあげます。卒業後も地域で生き、地域で育つ子どもたちを、引き続きお導きくださいますよう、宜しくお願い申しあげます。
もう皆さんをそれぞれの家庭・地域にお渡しする時間が迫ってきました。
PTA心づくしのお祝いのコサージュ、お世話になった方々からのメッセージ、教職員の思いがこぼれる玄関の装飾・・・・・たくさんの人の温かさに包まれ、前途を祝福されて、今、みなさんはこの堀川小学校を巣立っていこうとしています。
この幸せを胸に、実り多い中学校生活を送られることを心から祈念して私の式辞といたします。
平成31年 3月20日
大阪市立堀川小学校長 林田国彦