わくわく豊崎

12月19日 「雪の結晶のレプリカ作製方法」

公開日
2014/12/19
更新日
2014/12/19

スマイルとよさき

 北海道最高峰の旭岳(2,290m)をはじめとする大雪山(たいせつざん)連峰では,日本で一番きれいな雪の結晶が観察できる場所として有名です。

 シベリアから吹き出した冷気が,北西の季節風となって日本海を渡るうちにたっぷりと湿気を含んだ濃密な雪雲となり,北海道の西部海岸沿地域に豪雪をもたらします。
 その後,雪を降らせた乾いた空気が,旭川の盆地に流れ込み,大雪山の山腹に沿って上昇するにつれて冷え,再び雪となって舞い降ります。この湿気をあまり含んでいないという気象条件が,美しい雪の結晶とパウダースノーを生み出します。
 日本で最も美しい雪が降るという由縁です。

 何度か豪雪期の北海道を訪れ,雪の結晶についての研究者とご一緒する機会もありました。
 この美しい結晶を,厳冬下の夜だけでなく,日常的な生活空間の場でも観察できないかと考えていました。
 雪の結晶を撮影する機材を購入するのは高額で,手が出ない…。もっと手軽にできないだろうか。

 そんな折,「光硬化性樹脂を用いた雪の結晶プレパラートの作製」という論文を発見し,その手順で雪の結晶のレプリカを作製することを試みました。

 降ってくる雪の結晶を黒のビロードの布を貼った板に受け止め,刷毛でプレパラートにそっと載せます。
 光硬化樹脂を滴下し,ライトを照射すると,結晶の表面が硬化され,被膜が形成されます。こうすることで複製が完成し,常温でも雪の結晶の表面構造を半永久的に観察できるようになります。

 雪の結晶の観察を通して,自然の美しさや巧みさを知ることができます。また,気温や湿度によって結晶の形状も異なります。気象の特徴や大気の性質など,気象現象との密接な関わりについても知見を深めることができますね。