わくわく豊崎

3月11日「あの日を知らないこどもたちへ」

公開日
2025/03/12
更新日
2025/03/12

わくわく豊崎

昨日の全校朝会で紹介した、写真家 石井麻木さんの作品からのメッセージを一部抜粋して紹介いたします。

石井さんは、2011年の東日本大震災直後から毎月東北に通い、現地の状況を写真とことばで発信し続けています。

「あの日」を知らない子どもたちは、このメッセージをどのように感じ、受け止めるのでしょうか。


「月命日にひとりでいたくない」
その声を聞いてから、毎月11日に東北の地を訪れることを決めました。

訪れるたびに、
たくさんのかなしみを目に耳にしました。
たくさんのくるしみと対峙しました。
たくさんのやさしさにふれました。

赤ちゃんだった子が中学生になり、再会できた日。
小学生だった子の成人する姿を見届けることができた日。
高校生だった子が、結婚して子どもも生まれたこと。
まっくろな絵ばかりを描いていた子が虹色のクレヨンをもったとき。
私の手を握ったままはなさなかったちいさなちいさな手。
眼をみてぽつりぽつりとお話してくれるようになった日。
初めて笑顔を見せてくれた日。
お誕生日をいっしょにお祝いできた日。
夢を語ってくれた日。
悩み事を相談されるようになった日。
いっしょに泣いた日。笑いころげた日。

これまでの1日1日が、どんなものにもかえがたい瞬間の連続でした。
いのちの尊さ、まばゆさをまのあたりにしてきました。

のこされた者にできること。
当事者ではない者にできること。

87歳のおばあちゃんが仮設住宅で自ら亡くなってしまった日。
とめられないかなしみはとめられないかもしれないけれど
とめられるかなしみがあるのならとめたい。

どんなに心を砕いても追いつけないかなしみがある。
それでも知った者の責任として、こういう現実がある、こういう心情を知った、そして自分になにができる、
それはかなしみからもよろこびからも眼をそらさずに向き合うことでした。

毎年めぐりくる3月11日。
手を眼を心をはなさずにいたい。