転んだことから学べる能力!
- 公開日
- 2019/07/20
- 更新日
- 2019/07/20
学校日記
令和元年7月20日(土)ホリデーコラム44
「できるリーダーは、これしかやらない」(伊庭正康著 PHP出版)より、
(前回の続き)
この自己決定感の有無は、「失敗した時」に違いが出ると言います。
うまくいかなかった場合、自己決定感があると、なぜうまくいかなかったのか、どうすればうまくいくのか、といったように改善に結びつくのですが、自己決定感がないと、「難しかった」「面白くない」といった負の感情だけが残るのです。
メンタルの弱い部下にも自己決定感は効きます。ある例を紹介しましょう。卓球の元日本代表の平野早矢香さんが、少年に卓球を教える様子がテレビで放送されていました。その少年は、練習ではうまくできるのですが、本番に弱く、予選敗退が続いていました。少年は小さな声で言います。「本番は緊張してしまう。メンタルが弱い」と。平野さんは、ネガティブな発言をせず、練習中にも、「いいよ」「ナイス」「良くなってきたよ」と励まします。すると、少年の顔にも自信の笑みがこぼれ始めます。そして、いよいよ本番。試合の直前に平野さんは少年にこう話しかけました。「結果は関係ない。十分に練習はやった。一つだけ約束してほしい。今までやってきたこと、しっかりとやる、と」ああして、こうしてといった具体的なアドバイスはしないのです。ここで話したことは、たった一つの約束だけです。少年は静かにうなずき、考え始めます。「たしかに、そうだ。あの時、この時、なるほど、そうすれば、いいのか」と。結果は、善戦するも敗退。でも、少年は、取材にこう答えました。「自分でも後悔はある。予選ではできなかったことを次に活かしたい」と。敗北が人を強くする機会となった好事例でしょう。こうやって自分で考えることが、内省を促し、そのことへの自分なりの意味を見出せるようになるのです。
桜小の3つの風船の一つ、「失敗を恐れず、チャレンジする」はまさにこのことです。転ばないように過保護になるより、「転んだことから学べる能力」を子どもたちに(大人も)習得させましょう。