学校日記

今日の一言 10月16日 掃除する人の仕事とってはだめ?

公開日
2020/10/16
更新日
2020/10/16

校長雑感 一隅を照らす

ミュンヘン時代のお話です。
ドイツ最後の10年間、ミュンヘン日本人国際学校で事務局長(理事)をしていました。この学校は、掃除のスタッフを3人雇っていました。
校舎を建てるときにバイエルン州から補助金をたくさんもらっていたのですが、「校舎建設後、維持管理をしっかりすること」が補助金支給の条件でした。
毎日、3人のスタッフが3時間から4時間かけて掃除をしていました。
床もトイレもぴっかぴっかです。廊下やロビーには化石が・・・!

掃除は、衛生的観点からも保守管理の観点からも、専門のスタッフが行うべきだと思います。大阪の校舎は、比較的新しい築年数でも、痛みが激しいように思いますが・・・・

***
しかし・・・・・

日本の子どもたちの掃除は、学級活動という教育的な場であり、素晴らしいと思います。
当時ミュンヘンのこの学校では、子どもたちに掃除をさせなかったので、「掃除をさせましょう」と提案したことがあります。公共の施設を大切にしたり、施設を使用した後に、使用前よりきれいにして帰る!という考え方は、在外でも、子供に身に着けさせるべきだと考えていました。

ところが・・・

日本から派遣された先生方が反対しました。
「ドイツでは、掃除の仕事は掃除で職を得ている人の仕事。その仕事を取るようなことをしてはいけない!」
恐らく、ドイツの労働環境のことなどを聞きかじったのでしょう。ずいぶんと見当違いの意見でした。

全く理解できなかった私は、3人の掃除のスタッフ(トルコ人・ルーマニア人・ドイツ人)に訊きました。
「子どもたちに、自分たちの使った教室を掃除させたいんだけど、いいかな?日本の学校では、子どもたちに掃除をさせるのが教育の一つなんです」

彼女たちは、びっくりしながら、でも、とてもうれしそうに言いました。
「素晴らしい。なんて素晴らしい教育なの!ドイツでも子どもたちにやらせればいいのに!」

それから、彼女たちをゲストティーチャーにして、プロから習った掃除の仕方で、学級活動として掃除を始めました。

日本の誇る素晴らしい教育です!!!