今日の一言 9月15日 安岡正篤(2) 情理・道理・真理
- 公開日
- 2021/09/15
- 更新日
- 2021/09/15
校長雑感 一隅を照らす
【引用】
人間の思索というものは、抽象的な理論に偏ると、大変にいかにも高尚にみえるが、しかし、これは非常に危険であるのみならず、空虚、浅薄、空理になる傾向がある。
引用:「人生の五計」安岡正篤著 PHP文庫 P.14
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論理的に説明されると、容易に信じ込んでしまう危うさを彼は指摘していきます。例えば、三段論法。私たちは、これに慣れ親しんできたのですが、よくよく考えてみると大変な間違った結論になってしまうことがあります。
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【引用】
「人は動物である。犬は動物である。故に人は犬である。」こうもって行ったら、とんでもないことになるんであります。ところが、現代の知識人と言われる人たちは、思想とか学問とかいう名目において、あるいは理論的思惟だとか思索だとか言ってよくこれをやる。
(中略)
理にもいろいろあります。
論理というのは、実は最も抽象的、概念的であるから、これは当てにならん。思索になれない人は言い負かされて、心の中では「そうじゃない」と合点できなくても、黙してしまうことが多い。(中略)人間には精神的・感情的にも納得できる理論、すなわち「情理」というものがあり、それこそが最も大切であります。情理こそがグッと深く人天を通ずる。人と自然とを通ずる創造の理に徹する、合致してくるにおよんで、初めて「真理」となり、あるいは実践性を持つに至り「道理」となる。
引用:同上 P.15、P.21