学校日記

今日の一言 8月8日 金昌国先生、ありがとうございます。

公開日
2022/08/08
更新日
2022/08/08

校長雑感 一隅を照らす

(写真:フルート奏者 金昌国氏)

彼は、著名なフルート演奏家(ジュネーブ国際コンクールで一位を獲得)で、芸大の教授でもありました。彼が教えている同じ時期に私も学生時代を送っていました。
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今も昔もそうですが、学生オーケストラは学外での公開演奏会があり、そこは、演奏家でもある学内の教授がソリストとして共演することがあります。
金先生も、ソリストとして、モーツァルトの「フルートとハープの協奏曲」を演奏しました。
学生だった私は、1番オーボエとしてオーケストラに参加し、練習とコンサートでご一緒していましたが、そのときの、彼の黄金色(こがねいろ)の音色と高貴な音楽は、今でもはっきりと思い出すことができます。
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そんな芸術家の大先生が『教員養成課程の授業』を受けているらしいと聞いて大変驚きました。「なんで、今更先生の免許をとるの?」

卒業生のほとんどがプロの演奏家になるこの学校では、教職をとる人は稀です。
かくいう私もあまり興味がありませんでした・・その時までは。

彼が、教職の免許が欲しい理由は簡単でした。
大学付属の高校で教鞭を執ることになったのです。ところが、教職の免許をもっていません。急遽、免許を取るべく学生に交じって猛勉強をしていたという訳です。

なるほど、演奏家になっても高校で楽器を教えようとすると、高校の先生の免許がいるのか・・・よし、僕も免許をとろう。

一念発起して私も免許をとったのです。
今、手元には、

中学校教諭免許状(音楽)
高等学校教諭免許状(音楽)

があります。
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今年度も、加美小学校で音楽の授業をする機会があります。学校では、教員免許持っていなければ授業はできません。こうして授業ができるのも、あのとき「教授」が教職免許の勉強をしてくれたお蔭です。
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その先生が、先日亡くなりました。

卒業試験の後に「ずいぶんうまくなったね」と声をかけてくださったことや、上野の東京文化会館のステージの照明とその中にあっても、いやましてキラキラ光って見える先生の姿を思い出しました。
ありがとうございました。