学校日記

3月18日(水) 朝のあいさつ

公開日
2020/03/18
更新日
2020/03/18

お知らせ

おはようございます。

 みなさんに、「いじめ」について考えてもらうために、以前、全校集会で、重松清さん「ビタミンF」の短編小説「セッちゃん」を紹介しました。

 セッちゃんというのは2学期から転校してきた中学2年生加奈子の同級生です。難しい年ごろですが、加奈子は、何でも両親に話をしました。娘のおしゃべりを会社で話すと、子どもを持つ同僚はうらやましがりました。それが父親である雄介のささやかな自慢でもありました。

「ちょーかわいそうなの、セッちゃんって」。夕食後、一人娘の加奈子が言い出した。「なんで」
「ソッコーだよ、速攻で嫌われちゃったの、みんなから」。

 物語が進むにつれて、「セッちゃん」は仮想の人物で、娘の加奈子は、同級生から「いい子ぶってる」「生意気」「ムカつく」「嫌われ者」などと言われていたことがわかってきました。両親はがく然とします。いじめを受けていたのは、「セッちゃん」ではなく、娘の加奈子だったのです。娘の加奈子は、自分を「セッちゃん」に見せかけて、悲鳴をあげていたのです。
 物語の最後は、「セッちゃん」である加奈子が、「身代わり雛(びな)」を川に流して、バイバイと両手を振り、顔を覆うところで終わります。かわいそうなセッちゃんは去り、「いじめ」がなくなり、元気な優しい加奈子にまた戻って欲しいです。

 いじめについて、作者である重松清さんは、作中でこう綴っています。

「流しても、いじめ、止まんないよ?そんなに現実、甘くないもん」
ゲンジツを、やわらかい響きで言えるようになった。それでいい。
「現実は厳しいんだよ、おとなもこどもも」
 
 今、学校休業中です。決まった時間、決まった場所に、あたりまえにいた仲間がいません。仲間を思い大切にし、優しい気持ちになり、自分を信じて大切にすることを、今一度、考えてください。