令和2年11月29日(日)ホリデーコラム55
「がんばらない働き方(ピョートル・フェリクス・グジバチ 著 青春出版社)」より、
「働き方改革」で気をつけたいポイント
今、日本で進められている「働き方改革」にも、「〜しないといけない」という空気を色濃く感じます。
僕が心配しているのは、議論が「制度」中心になっていることです。フレックスタイムにしたり、フリーアドレスにしたり、在宅勤務を推奨したりと、さまざまな制度を導入することで労働時間の短縮や生産性の向上、社員満足度アップが望める、という具合です。
しかし働き方改革の本質は、経営改革と生き方改革にあるべきです。
つまり、企業あるいは個人が、何を捨て、何に集中し、どんなアウトプットを社会に提供して、どんな仕事で成長していくのかを、はっきりさせることです。ふさわしい働き方や制度は、そこから逆算するかたちで生まれます。
そうでない制度は、「〜しないといけない」というかたちで、かえって自由を縛るものになる恐れがあります。
ルールの力は、想像するよりもずっと強いものです。
「ルールに書いてあること以外は全部ダメ」と思い込む人が現れます。
学校現場にも同様なことが起きています。それが国が導入しようとしている「1年単位の変形労働時間制」です。
授業のある忙しい時期の定時を延ばす代わりに、夏休みなど「閑散期」の勤務時間を短くすることでたっぷり休めるようにする制度です。仮に終業時間が17時だとすると、繁忙期は最大19時まで延長され、その分、閑散期は15時に退勤できたり、数日間まとめて休めたりするといった内容です。これに対し子育て世代の教員からは特に大きな反発があります。子どもを迎えにいけなくなる現実があるからです。また、この制度によってますます帰宅時間が遅くなる懸念もあります。
いずれにしても、著者のいう通り、時間などの制度よりも、働きがいや生きがいなど、自分がどうしたいのか?をより追求できる環境や状況を、自分からつくることが大切です。ルールに縛られていると、自分で考える力が失われます。「なぜなのか?どうしてなのか?」をいつも意識して、目の前のできごとについて、自分で考える習慣を身につけたいですね。