?令和3年8月2日(月)週末コラム17
■失敗やミス=いけないこと ではないと大人が認識しよう
「できなかったことができるようになる」というのは勉強でもスポーツでも大事なことです。「チャレンジが大切だ」と聞いて反論する大人は少ないでしょう。それなのに、現実には学校でも家でも、自分から何かに積極的にチャレンジする子どもは少数派のようです。スポーツの現場でも「失敗したくないからイヤ」という子や、やる前から「どうすればいいですか」と正解を欲しがる子も増えているという声を聞きます。
本来は好奇心旺盛なはずの子どもたちが、チャレンジすることをためらってしまう理由の1つには、「失敗したらどうしよう」という不安があります。
周囲の大人たちが子どもの失敗を過剰に恐れ、先回りして失敗しそうな原因を取り除いてしまうことで、かえって不安が増幅し「失敗したくない」「ミスをしたらどうしよう」という気持ちが強くなり、それがチャレンジを妨げてしまうのです。大人たちが子どものチャレンジ精神をスポイルしてしまっているのです。親御さんの中には「わが子が失敗する姿を見ていられない」というかたもいるでしょう。
昨今の少子化も影響し「子育てに失敗したくない」という意識が強くなっていたり、「一度正規ルートを外れると戻れない」という印象の強い現代の日本社会への不安を抱えていたりすることで、親自身が子どもの失敗を過剰に恐れ、子どもがつまずきそうな要因を先回りして取り除きたくなるのも理解できます。
しかし、失敗やミスを「いけないこと」と捉えているうちは、子どもたちが思い切ってチャレンジできる環境を整えているとはいえません。親が先回りしてつまずきそうな要因を取り除いた道を歩んできた子は、大きな失敗や痛い思いをしてこなかったため、社会に出てから経験した失敗の痛みに耐えられず心が折れることも……
日常生活やスポーツの中で小さな失敗を繰り返すことで、失敗から立ち直る練習をするのもよいでしょう。子ども自身、本当に困ったときにはじめて気がつくこともあるのです。