美しい藤の花淀川を遡りて 藤の花 今をさかりと咲きつれど 船いそがれて 見返りもせず 「淀川を遡りて」と前書きが添えられていますが、時は幕末。京都を目指す途中、咲き誇っている美しい藤の花を見たが船を急がせていたので、十分観賞することができず残念だ、というような意味でしょうか。詠み手は長らくあの「坂本龍馬」と鑑定されていましたが、最新の研究では、龍馬ではなく幕末のほぼ同時期、土佐藩を脱藩した吉村寅太郎ではと言われています。龍馬か寅太郎か。存外、この和歌は二人で共有していたのかもと考えてしまいます。歴史を越えて、見る者を魅了する藤の花。 |