西淡路小学校・学校日記

ちいちゃんのかげおくり(2年平和学習) (8月4日)

公開日
2020/08/04
更新日
2020/08/04

お知らせ

 2年生は平和学習で「ちいちゃんのかげおくり」を学習しました。

「ちいちゃんのかげおくり」は、「なまえをみてちょうだい」など、たくさんの児童文学作品を書いてきたあまんきみこさんの有名なお話で、平和学習によく使われる作品です。

 どんなお話か、みなさんご存じでしょうか。


 病弱なお父さんが出征する前日のこと。先祖のお墓参りの後によく晴れた空を見上げたお父さんは、「かげおくりのよくできそうな空だなあ」と言って、お兄ちゃんとちいちゃんに「かげおくり」という遊びを教えてくれます。

 お父さん、お母さん、お兄ちゃん、ちいちゃんの4人はかげおくりをして遊びます。青い空に浮かんだ4人のかげを見てお父さんは「今日の記念写真だなあ」とつぶやき、翌日に戦争へ行ってしまいました。その後も、ちいちゃんとお兄ちゃんはよくかげおくりをして遊びます。

 そんな日を過ごすうちにいくさは激しさを増し、「しょういだん」や「ばくだん」を積んだ飛行機が空を飛びかうようになります。かげおくりをして遊んだちいちゃんの町の空色も一変してしまいました。

 夏のある日、とうとうちいちゃんの町にもばくだんが落とされます。サイレンが鳴り響くなか、ちいちゃんはお母さん、お兄ちゃんと逃げることに。逃げる途中でお兄ちゃんがころんでけがをしてしまいますが、お母さんはお兄ちゃんを背負い、ちいちゃんの手を引いて走ります。しかしいつの間にかちいちゃんは、お母さんやお兄ちゃんとはぐれてしまったのでした。

 知らないおじさんが一人ぼっちになったちいちゃんに気がつき、走って逃げてくれたおかげでちいちゃんは助かります。おじさんとも離れたちいちゃんを次に見つけてくれたのは、家の近くに住むおばさんでした。おばさんは、ちいちゃんの家があった場所まで連れてきてくれます。しかし、ちいちゃんの家はすでに焼け落ちてしまったあとでした。

 防空壕の中で、わずかに残された食料を少しずつ食べ、お母さんとお兄ちゃんの帰りを待つちいちゃん。しかし、お母さんもお兄ちゃんも帰ってはきません。

 衰弱して薄れゆく意識の中、ちいちゃんが目にしたのはキレイに晴れた空でした。空を見上げると、お父さんの「かげおくりのよくできそうな空だなあ」という声が聞こえます。ちいちゃんは一人でかげおくりを始めました。

 「ひとうつ、ふたあつ」とちいちゃんが数えるうちに、いつしかお父さん、お母さん、お兄ちゃんの声がちいちゃんの声に重なります。数え終わって空を見上げると同時に、空に吸い込まれていくちいちゃん。空色の花畑には、お父さん、お母さん、お兄ちゃんが迎えに来てくれました。

 こうして、ちいちゃんの命は空に消えたのです。


 子どもはもちろん、大人が読んでも胸を締め付けられるようなストーリーで、ちいちゃんとお兄ちゃんのほのぼのとしたシーンから一転、暗く、恐ろしい空襲のシーンに切り替わるところでは、平和で笑顔あふれる生活を、戦争が一夜にして奪い去ってしまう恐ろしさが伝わってきます。

 命の尊さや平和な日常のありがたさを学び取ることができる作品で、読み終わった後、子どもたちは真剣な表情で先生のお話を聞き、たくさんの意見や考えを発表することができていました。