今日の一言 7月16日 救急救命
- 公開日
- 2020/07/16
- 更新日
- 2020/07/16
校長雑感 一隅を照らす
いつものこの時期であれば、プールから元気な声が聞こえてくるところです。
学校の先生にとっては、全シーズンを通して、最も緊張感のある時期でもあります。水泳の指導は、常に命にかかわる事故を想定して、安全確保のための万全の準備と万一の時のための救急救命のトレーニングを欠かすことができません。
・・・
今年も、教職員対象の救急救命の講習会の案内が学校に届き、職員室から、救急救命の大切さや講習会の厳しさについて話す先生たちのこえが聞こえてきました。
・・・
私が毎年思いだすのは、ドイツ(バイエルン州)で水泳指導する教員が取得を義務付けられている水難救助資格(ブロンズ)のことです。
ミュンヘンの日本人国際学校で勤務する先生たちはこの資格が必要です。
当時私も、この資格を取得しました。
この資格を取得する間に、大切なことを学びました。
それは、鼻の中に水が入ったぐらいでは平気だということ、
もう一つは、溺れている人を助けよう!などと、簡単に思うなということでした。
・・・資格試験の内容・・・
○200メートルを10分以内に泳ぐ
・100メートルは平泳ぎ
・100メートルは手を使わない背面泳ぎ
○着衣で100メートルを4分以内で泳ぎ、
泳ぎ終わった後、水中で脱衣。
○1メートルの高さから3種類の飛び込み。
・頭から
・足を抱え込んで
・足から体をまっすぐにしたまま
○15メートルの潜水。
○3メートルの水底にある5キロの鉄アレーを
水面まで持ち上げる。3分以内に2度。
1度は頭から、2度目は足から潜水。
○50メートル、溺者の水面搬送(前向き)
○溺者に後ろから抱きつかれたときの解放対応し
そのあと、50メートル水面搬送(後ろ向き)
・・・
この訓練では、何度も鼻から水が入ったり、水を飲んだり、水底から上がれないのではないかという恐怖を味わいました。
訓練を通じて、鼻に水が入る程度のことでは、大事に至らないということも知りました。
一方で、毎日泳いでないとちょっとしたことで足がつったり、若い時と比べて筋力が落ちているのに、自分の力を過信して無理な潜水や救助をしようとしたことです。
そういう時は、コーチから厳しく怒られました。「死ぬよ」・・と。
自分の命の安全を確保できてから救助する。そのためには、自分の強さと弱さを知るためにトレーニングが必要だと厳しい指導を受けました。
・・・
水泳指導でなくても、救急救命はいつ何時必要になるかわかりません。
職員室から聞こえてくる声の響きは、いつも以上に真剣な表情をおびていました。