学校日記

今日の一言  8月1日 ネバーエンディングストーリー Nichts(虚無)

公開日
2022/08/01
更新日
2022/08/02

校長雑感 一隅を照らす

写真:
ドイツ語版“Die unendliche Geschichte”
(ディー ウンエントリッヒェ ゲシヒテ)

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長い夏休み、加えて外出できないほどの暑さが続いています。こんな時こそ、ゆったりとした時間の中で『日ごろから読みたかった本、読み返してみたい本』と過ごしてみるのはいかがでしょうか。

ミヒャエル・エンデ「はてしない物語」(ネバーエンディングストーリー)。一週間ほどまえに、テレビで同名の映画が放送されていました。

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「ネバーエンディングストーリー」という本の中に存在する不思議な世界「ファンタジーエン」。この世界が「虚無」の拡大で破壊される危機にさらされています。主人公の彼は、本の世界と現実の世界が交錯する中で、「ファンタジーエン」を救うために本の中のヒーローと一心同体となり戦います。そして「ファンタジーエン」を「虚無」から救います・・・・
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ドイツ語の原文で、「虚無」は“Nichts(ニヒツ)”と言います。
辞書的には、「無」「空」「絶望」「虚」というほどの意味です。
“Nichts”を「虚無」と訳した人は、物語を解釈したのでしょうか?「ファンタジーエン」とは、どこにある世界なのでしょうか?この訳は、なんと的確なのかと感心してしまいます。
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ミヒャエル・エンデは、時間泥棒が出てくる“モモ”という物語の作者でもあります。心や精神の世界を物語として著すのは、メルヒェン作家の良く用いる表現手段ですが、エンデは、正にメルヒェン作家と言えるのでしょう。

1979年に刊行された本ですが、2022年の混沌とした世界を予言したかのような内容です。この物語は、忘れてしまった何か大切なことを思い出させ、現在のカオスの中から私を救い出してくれます。

大人をも魅了する童話の世界。お子さんと一緒に読んでみたり、同名の映画を見たりするのも、楽しい夏休みの過ごし方かもしれません。