前向きな言葉で!
- 公開日
- 2022/06/26
- 更新日
- 2022/06/26
お知らせ
令和4年6月26日(日)ホリデーコラム
「頭のいい子の親がやっている『見守る子育て』」(小川大介著 角川出版)より、
子どもはコミュニケーションの経験値が少ないため、投げかけられた言葉をそのまま受け取ります。これがそのまま、「否定が子どもにとってプラスにならない理由」です。
親の思い通りに動いてくれないとき、あるいは、奮起を促そうとするときの否定を、子どもは額面通りのメッセージとして受け取ります。「お前はダメだ」と言われたら、そのまま「自分はダメだ」と受け取るわけです。
「認める」「見守る」「待つ」とは真逆の関わり方をしてしまっていることになるのです。親に否定されると、子どもは「嫌われた」と感じてしまう
ドリルを真面目にやらない子に「どうしてちゃんとしないの!」
鉄棒の練習をしていて「そんな持ち方じゃダメだ!」
部屋中におもちゃを出しっぱなしにする子に「散らかさないでよ!」
親から否定されると、子どもは「お父さん・お母さんが自分のことを嫌いになっちゃった」と感じます。親からしてみれば、行動に対して「ダメ」と言っただけなのに、子どものほうは「お父さん・お母さんと自分との関係すべてがダメ」というふうにとらえてしまうのです。コミュニケーションの経験値が少ないのですから、仕方のないことです。
だからこそ親御さんには、「なぜ否定するのか」をもう一度、考えてほしいのです。おそらく、「うまくいって喜ぶ子どもの顔が見たい」「本来持っている能力を十分に発揮してほしい」「ケガや病気をしてほしくない」という、子どもの幸せや安全を願う気持ちと、親自身が安心したい気持ちが入り交じっているのでしょう。
それはとても自然な感情です。ただ、そこで考えてほしいのです。「子どもの幸せ」と「自分の安心」を両立するために、否定的な言葉を使わずに済ませることはできないだろうか、と。わかりやすい例をひとつ挙げましょう。
「廊下を走ってはいけません」という張り紙と「廊下は歩いて移動しましょう」という張り紙とでは、子どもたちが廊下を走る割合は後者のほうが圧倒的に少ないという実験結果が出ています。
「〜してはいけない」ではなく、「〜しよう」と肯定的に伝えたほうが、子どもは素直に受け取り、行動できるのです。
「ダメ出し」は大人にしか通用しない
「そんなんじゃダメだよ。もっとできるだろう」「こんなこともできないの?」といったダメ出し。「奮起して本来の力を発揮してくれるだろう」という、親としての期待によるものであることは理解できます。
ただそれは、「もう一度頑張れ。お前ならきっとできる、という意味だな」という、ダメ出しに込められた真意がわかるからこそ有効なコミュニケーションです。
さきほど述べたように、子どもは「ダメだ」と言われたらそのまま「自分はダメだ」と受け取ります。そして、「そんな自分が次に頑張ったって、うまくいくはずがない」と考えます。そのため、チャレンジを避けるようになります。
ダメ出しに込められた「もっと頑張ったらできるようになるよ」というメッセージを、子どもはまだ受け取ることができないのです。
大人である私たちでも、ダメ出しをされると落ち込んでしまうものです。そこで奮起して「よし、やってやるぞ」という気持ちになる人がどれだけいるでしょうか。それが子どもなら、なおさらのことです。
それならば親御さんの真意が伝わるように、否定ではない声かけをしていきましょう。
特に、あなたが高学歴であったり、努力して社会的に成功してきたり、恥ずかしい思いをしたくないと自分を律してこられたりした方である場合は、要注意です。
このような方はダメ出しに対して奮起できてしまう、ごく限られた人だからです。
頑張れてしまうあなたが特別なのであって、お子さんを含めほとんどの人にとっては、ダメ出しを前向きなエネルギーに変えるのはとても難しいと理解してください。
言葉の使い方ひとつで、受け取る側の気持ちに良くも悪くも影響します!自分が言った言葉ではなく、相手がその言葉をどう受け止めるのか!まで、考えてから言葉を選ぶこと!「〜してはいけない」ではなく、「〜しよう」と肯定的に伝えられるような言葉のチョイスが大事なんですよね!